宮澤賢治、風の世界

宮澤賢治の作品を彩る言葉と風を追って宮澤賢治の世界を訪ねよう。 賢治は風という言葉に何を託したか。風を描くためにどんな言葉を選んだか。 賢治は何を求めて風の中に身を置いたのだろう。 そこに少しでも近づきたくてページを埋めていく。
 
永野川2021年3月上旬
5日  薄曇 16℃ 
 
錦着山  10:00〜10:30
 久しぶりで行ってみましたが、ヒヨドリが時折飛んで3羽確認できました。
 頂上の高木で、メジロ2羽、モズが1羽のみでした。
 北面の崖の草むらにカシラダカ1羽見つけました。
 
赤津川永野川  10:30〜12:30
 ウイークデイなので、工事車両がたくさん入っていました。合流点の広い草地もショベルカーが入り、土が掘り返されていました。どこまで進むのか、もう結果を待つしかありません。
 錦着山裏でヒバリが囀り始めていました。赤津川の田でも囀りがあちこちに広がってきました。
 赤津川の田で、小鳥の声が聞こえ、何だろう、と探していたら、近くの電線でモズ1羽、声の主でした!すぐモズの声になりましたが、また時々小鳥の声を繰返していました。
 ホオジロの囀りが聞こえ、川岸の木の頂上を確かめると、はっきりホオジロの囀りのポーズでした。
 今日のトピックス、やはりイカルです。
 公園の芝生に下りていて19羽。この数はここでは初めてです。下りていたので正確にカウントできました。少し経つと近くの常緑樹の中に入ってしまいました。
 シメも滝沢ハムのクヌギ林で15羽が枝から枝に飛び移っていました。なんだか、みんな帰ってしまいそうで……。
ヒドリガモも公園の西池に57羽集まっていて、滝沢ハム池の3羽を加えて60羽、ここでは最大の数です。
 大岩橋河川敷林では、アオジが2羽、雄も確認出来ました。
 シソ科オドリコソウ属のホトケノザがたくさん咲いてきました。所々にナズナの白い花が咲き、彩りとなっています。ホトケノザは、庭で手を焼く雑草、と言うイメージがあって、今一喜べないのですが、ネットでホトケノザを引くと、七草のオニタビラコよりも先に出てきます。以前は逆だったと思うのですが。
 二杉橋近くで、ウグイスが囀ったのかな、と思いましたが、確認出来ませんでした。大岩橋河川敷林ではまだ地鳴きでした。ウグイスの棲む河川周辺の草むらや低木が工事で減っているので、どの位さえずりが聞こえるか心配です。
 
キジ: 大岩橋付近山林で1羽。
カルガモ:公園の東池35羽、赤津川で10羽、3羽、13羽、3羽、滝沢ハム池3羽、計67羽。
コガモ:赤津川で16羽、滝沢ハム付近池で3羽、計19羽。
ヒドリガモ:公園の西池57羽、滝沢ハム池で3羽、合計60羽。
カワウ: 公園東池で1羽。
カイツブリ:公園東池で2羽。
キジバト: 大岩橋河川敷林で2羽、永野川睦橋付近で1羽、計3羽。
アオサギ:赤津川で1羽、二杉橋〜上人橋2羽。公園西池で1羽。計4羽
ダイサギ:永野川上人橋まで1羽。
トビ: 公園上空2羽。
モズ:赤津川岸で1羽(鳴き真似)、合流点で1羽、上人橋〜二杉橋1羽、計3   羽。
ハシボソカラス:公園ハリエンジュで営巣中2組。
ハシブトカラス:公園で10羽。
オナガ:赤津川民家の木に3羽。
ヒバリ:錦着山裏田で囀り1羽、 赤津川麦田で囀り1、計2羽。
ヒヨドリ:特に目立った群れはない。
ウグイス:大岩橋山林で地鳴き1羽
ムクドリ: 滝沢ハム林で3羽。
スズメ:200羽超
ハクセキレイ:赤津川で1羽、上人橋〜二杉橋上で2羽、計3羽。
セグロセキレイ:合流点1羽、赤津川1羽、上人橋〜二杉橋2羽、計4羽。
カワラヒワ:赤津川5羽、2羽、二杉橋〜上人橋10羽、6羽、計23羽。
シジュウカラ:大岩橋山林で1羽。
ジョウビタキ: 大岩橋付近山林で2羽。
ツグミ:合流点2羽、赤津川1羽、二杉橋〜上人橋まで1羽、公園5羽、計9羽。
ホオジロ:赤津川岸で囀り1羽。
イカル:滝沢ハム付近鳴き声1羽、公園芝生19羽、計20羽。
シメ:滝沢ハム生け垣とクヌギ林で15羽、公園エノキで1羽、計16羽。
 
11日
永野川赤津川 10:00〜12:00 晴 14℃
 風が少しあったのですが、良い天気でした。
 二杉橋から入ると、ウグイスの囀りが聞こえました。期待していたので嬉しさもひとしおです。 西の土手のいくらか残った草むらから聞こえるようです。今年は草むらも減ってしまったのでどうかと思っていました。
 例年ここではもっとにぎやかな囀りが聞こえ、この上流はずっと草むらと藪が残っていて所々でさえずりを聴くことができたのですが、今日は遡ってもほとんど、草むらも藪も木もなく、いつも聞こえる水道局の南の民家にあった藪もほとんどなくなっていました。今年は望めないかもしれません。あとは大岩橋付近か錦着山かで聞こえるかも知れません。
 睦橋近くでアオサギ1羽、残っている草むらからホオジロ3羽、カワラヒワが8羽、2羽、5羽と飛び出しました。
 公園の池、ヒドリガモが西池に集結していて50羽、東にも17羽、他のところにはいませんでした。
 カルガモは東に22羽、あとは、公園と赤津川に4羽のみでした。
 公園で、シメがエノキに6羽、あとは大岩橋河川敷林に2羽のみ、滝沢ハムクヌギ林では見えませんでした。
 イカルの姿もありませんでした。やはり出会いは運と言うよりほかないようです。
 大岩橋河川敷林で、シジュウカラがにぎやかで、7羽までは確認出来ました。
 トビが大岩橋付近ではカラスに絡まれていました。この頃ハシブトカラスが多いようで時々群れをなして頭上を飛びます。公園で16羽確認出来ました。
 滝沢ハム寄りのハリエンジュと、クヌギ林で営巣しているのはハシボソカラスのようです。
 滝沢ハム池付近の林ではムクドリが8羽歩いているのみ。池にもカモ類はいませんでした。
 赤津川では、ヒバリの声は聞こえませんでしたが、錦着山裏の田で上空に舞い上がる姿を確認、田で囀るものもいました。場所を変えながら鳥は生き延びていくのかも知れません。
 カワヅザクラは2分咲き、濃いめのピンクが華やかです。だんだんと季節は変わっていきます。まだツバメには会えません。
 合流点付近の河川敷は重機が入り、水場も草むらもほとんどなくなっています。工事の終わり、自然が回復するのを待つのみです。
 
カルガモ:公園の東池24羽、赤津川で4計28羽。
コガモ:赤津川で3羽。
ヒドリガモ:公園の西池50羽、東池で17羽、合計67羽。
カワウ: 公園西池で1羽。
カイツブリ: 公園東池で2羽。
キジバト: 永野川睦橋付近で1羽。
アオサギ:赤津川で1羽、二杉橋から上人橋1羽。計2羽
ダイサギ:赤津川で1羽。
トビ: 公園上空1羽、大岩橋付近でカラスに絡まれて1羽、計2羽。
モズ:公園で1羽、赤津川岸で1羽、計2羽。
ハシボソカラス:公園ハリエンジュで2組営巣中。
ハシブトカラス:公園で16羽。
ヒバリ:錦着山裏田で3羽。
ヒヨドリ:目立った群れはない。
ウグイス:二杉橋上東岸土手草むらで1羽囀り。
ムクドリ: 滝沢ハム林で8羽、赤津川で6羽、計14羽。
スズメ:数は200羽超
ハクセキレイ:赤津川で1羽。
セグロセキレイ:大岩橋付近電線で1羽、赤津川で2羽、計3羽。
カワラヒワ:二杉橋〜上人橋8羽、2羽、5羽、公園で10羽、1羽、1羽、6羽、計33羽。
シジュウカラ:大岩橋山林で7羽。
ジョウビタキ: 大岩橋付近山林で1羽。
ツグミ:公園東池で1羽、赤津川1羽、滝沢ハム池付近で1羽、計3羽。
ホオジロ:二杉橋〜上人橋3羽、大岩橋河川敷林で2羽、計5羽。
シメ:公園エノキで1羽、5羽、大岩橋河川敷2羽、計8羽。
 
 
 







永野川2021年2月下旬
21 日 晴18℃
錦着山 10:00〜10:30 
  よく晴れて暖かでしたが、ヒヨドリが4羽見えたのみで、全く鳥がいませんでした。
 頂上の草むらでウグイスが地鳴きしていました。
 
永野川赤津川 10:30〜12:30
 赤津川から入りました。日曜日なので工事はお休みです。合流点上は大がかりな工事をしていたはずなのに、工事車両もなく工事前と同じくらい水が溜まっていました。ほんの一部分護岸工事が出来ているのみです。これで終了なのでしょうか。他の場所はまだ工事の途中です。
 今日のトピックスはヒバリ。
 赤津川の田では、いつの間にか麦が芽吹き始めていて、なんとヒバリが囀っていました。こんな早い時期に聞くことがでたのは、初めてのような気がします。バードリサーチのお話では決して早くなはいとのことです。駆け足で何かが変わって行きます。
 もう一つはシメの群れとイカル。
 滝沢ハムのクヌギ林の奥でシメの声がしていました。
 ハム工場のサザンカの生け垣があり、そこからあっという間にシメ15羽が出てきました。何とイカルも2羽混じっています。ゆっくり採餌しているように、垣根を出入りしていました。シメの数も嬉しかったのですが、イカルを身近でゆっくり見ることができたのもチャンスです。先回は樹木のなかでどうやら腹面だけを見ることができたのでした。
 この生け垣のサザンカの実を割って食べているのでしょうか。今度鳥のいないときに近づいてよく確かめてみたいと思います。
 もう一つはカワセミ。
 何かにぎやかな鳥の声が続き、探していると、カワセミでした。それも嘴の赤がはっきり見える雌です。そこにもう1羽がやってきて、ともに一瞬で消えてしまいました。もしかするとカップル行動かも知れません。これも良いチャンスでした。
 赤津川では水の残っている場所に、カルガモ、コガモが集まっていました。
 カワラヒワが岸の草むらから時折飛び立ちます。
 ツグミも時折田をかけていきます。
 合流点でダイサギ1羽、カワウが1羽、イカルチドリが2羽。ここはやはり集まりやすい場所なのでしょう。トビが2羽上空を待っていました。
 合流点の崖の上の桜の木でシジュウカラ1羽、池近くの林で1羽、大岩橋河川敷林で4羽、と今日はシジュウカラが元気です。
 クヌギ林で、ハシブトカラスの声がうるさく鳴き飛び交っていた。15羽、どうも上の巣の子育て中の2羽を襲っていたようです。結局カラスは散っていきましたが、同種間にも厳しい世界があるのを感じました。
 大岩橋上、大砂橋の近くには少し水が戻っていてセグロセキレイ2羽、キセキレイ1羽も来ていました。
 公園の西池で、ダイサギが1羽飛来したのですが、5,6秒、水面をホバリングしていました。不思議に思えましたが、水の深さを感じて、ためらっていたのかも知れません。
 永野川を下ってくると、モズが一羽、川中央の工事資材にとまっていました。
 公園の紅梅が満開になり強い香りを漂わせ始めました。トサミズキも色を増しています。ヒバリも鳴き始めて、もうじき冬鳥も帰ってしまうのでしょうか。
 
カルガモ:公園の東池43、西池2羽、赤津川で12羽、計57羽。
コガモ:滝沢ハム池で11羽、赤津川で4羽、計15羽。
ヒドリガモ:公園の西池25羽、東池で12羽、計37羽。
カワウ: 合流点で1羽。
アオサギ:二杉橋から上人橋まで1羽、公園で1羽、計2羽。
ダイサギ:合流点で1羽、公園西池で1羽、計2羽。
イカルチドリ:合流点で2羽。
トビ: 公園上空2羽。
モズ:永野川高橋付近、川中央の工事資材に1羽。
カワセミ: 赤津川で雄雌2羽。
コゲラ: 滝沢ハムクヌギ林で1羽、大岩橋河川敷林で1羽、計2羽。
ハシボソカラス・目立った群れはない。
ハシブトカラス:滝沢ハムクヌギ林で、営巣中の2羽をめぐって15羽。
ヒバリ: 赤津川ムギ田で囀り4羽+
ムクドリ: 滝沢ハム池に近い芝生で11羽。
スズメ:大きな群れで動いている。
ハクセキレイ:二杉橋上で1羽、大岩橋下で2羽、計3羽。
セグロセキレイ:上人橋上で2羽、大砂橋下2羽。計4羽。
キセキレイ:大砂橋下で1羽。
カワラヒワ:公園で1羽、赤津川で10羽、12羽、4羽,4羽、計31羽。
シジュウカラ:大岩橋河川敷林で4羽、合流点上で2羽、計6羽。
ツグミ:公園3羽、1羽、2羽、2羽、赤津川1羽、1計10羽。
イカル:滝沢ハム生け垣とクヌギ林で2羽。
シメ:滝沢ハム生け垣とクヌギ林で16羽。
 
28日 10:00〜12:00 晴 11℃
 二杉橋から入ります。工事は休みなので静かですが、大型工事車両が並んでいて、変わらず水はありません。流入口の辺りに水たまりができていて、ここが見所です。タヒバリが1羽、ハクセキレイ2羽いました。細かい顔の模様ははっきり確認出来ませんが、あまり複雑でなくタヒバリだと思います。
 今日のトピックスはやはりイカルとシメです。
 公園のエノキでシメ1羽、岸の木に4羽、遙かにイカルの声がした気がしましたが、焦らずゆっくり他の場所をめぐって行きました。
 滝沢ハム付近のサクラ並木で、イカル1羽、単独で動いていました。同じ所にいるだろうか、と不安でしたがクヌギ林に行ってみました。いました!
 サザンカの生け垣の下からシメが10羽、イカルが8羽が出てきて、しきりに採餌しているようで、地面と生け垣を行き来しています。
 イカルはいつも憧れの気持ちが強く、美しい配色ばかりが心に残るのですが、よく見るととても愛嬌のある顔でした。今年は本当に恵まれた冬になりました。
 もう一つはアカゲラです。
滝沢ハム池付近の林を見ながら、今年はアカゲラがいないのかな、と思っているとき、ケラの声がしている気がしてふと見ると動きがあって、頭が見え、そして鮮やかな腹面が目に飛びこんできました。ラッキーでした。今年はもう見られないかもしれないと思っていました。この林は、本当に貴重ですが、いつどんな風に変えられてしまうかも分からないのだ、とふと思います。
 大岩橋河川敷林ではたくさんの鳥種がいますが、私が見ているのは4割程度にすぎないのでは、不安になります。今日はホオジロ、カシラダカ、キジ、アオジ、大岩橋の上から覗いているときに、これらの鳥を見つけました。
 さらに林縁に動きがあって、カシラダカ5羽、ジョウビタキ2羽、入り交じって山林に消えて行きました。
 この頃、ハシブトカラスが多くて、公園ではトビ1羽に4羽のハシブトカラスが絡んでいました。結局逃げ切りましたが、カラスは何のために自分より大きいトビを狙うのか。縄張り、と言うには空は広すぎる気がするし、トビはいつも飛んでいるですが。 
 赤津川では、この前と反対側の東側の田でヒバリが囀っていました。前回より、10度近く気温が下がっているので心配していたのですが、鳥は元気です。
 専門的なことは全く分らないのですが、ほんの少しの区間だけ護岸工事がされ、その割には工期が長いと思います。
 二杉橋上河床を見ると、土砂がかなり堆積しているように見えます。このままでは同じような豪雨となれば、幾ら護岸を固めても、高くしている訳ではないので、水は町を襲うでしょう。災害から1年半も過ぎているのに、爪痕ほどしか工事はしてないように思えます。
 オオイヌノフグリが合流点の近くの道で、ほんの少し咲き始めていました。恐らく土手の状態が変わってしまったのでいままで見つからなかったのだと思います。
早くもとの自然が戻ってくることを祈ります。
 
キジ: 大岩橋河川敷林で雄1羽。
カルガモ:公園の東池21羽、赤津川で6羽、16計43羽。
ヒドリガモ:公園の西池22羽、東池で11羽、合計33羽。
カワウ: 公園東池で1羽
カイツブリ: 公園東池で2羽。
キジバト: 永野川睦橋付近で1羽。
アオサギ:二杉橋から上人橋1羽、公園西池で1羽、大岩橋上で1羽、計3羽。
ダイサギ:合流点で1羽、公園西池で1羽、計2羽。
イカルチドリ:睦橋付近で1羽。
トビ: 公園上空2羽、1羽がカラスに囲まれていた。
モズ:赤津川岸で1羽。
アカゲラ:滝沢ハム池付近の林で1羽。
ハシボソカラス・目立った群れはない。
ハシブトカラス:公園で10羽+。
カケス:大岩橋付近山林で1羽の声。
ヒバリ: 赤津川ムギ田で囀り2+
ウグイス:上人橋近くの山林で地鳴き。
スズメ:数は200羽超
ハクセキレイ:二杉橋上で2羽、大岩橋下で2羽、計4羽。
セグロセキレイ:公園で1羽。
カワラヒワ:二杉橋〜上人橋1羽、1羽、8羽、15羽、公園で1羽、1羽、大岩橋河川敷林で1羽、赤津川で5羽、計31羽。
シジュウカラ:公園ワンド跡で1羽、合流点上で2羽、計3羽。
ジョウビタキ: 大岩橋付近山林で2羽。
ツグミ:二杉橋〜上人橋まで2羽、公園1羽、大岩橋3羽、赤津川2羽、計8羽。
ホオジロ: 大岩橋河川敷林で1
カシラダカ:大岩橋付近山林で5羽、滝沢ハム付近林で3羽計8羽。
イカル:滝沢ハム付近サクラ並木で1羽、滝沢ハム生け垣とクヌギ林で8羽、計9羽。
シメ:滝沢ハム生け垣とクヌギ林で10羽、1羽、公園エノキで1羽、対岸の木で4羽、計16羽。
 







永野川2021年2月中旬
13日 10:00〜12:00 晴 16℃

 薄曇りでしたが、風もなく暖かでした。
 二杉橋から入ると、相変わらず水がほとんどありません。流入口のところに、いくらかの水たまりがあり、ハクセキレイ1羽、イカルチドリが1羽歩いていました。このところ、ここで毎回イカルチドリを見ます。
 第五小側の岸に草地が残っていてカシラダカを2羽確認出来ました。この周辺のみ少し草むらが残されているので、鳥たちが集まってくるようです。
 河床にはツグミ1羽確認しました。

 今日は、たくさんの出会いがありました。
 まず、公園の常緑樹にイカルの群れが来ていました。
最初、少し離れたところを通ったとき、小鳥が集団で鳴いている声がしていました。スズメと少し違う気もしたのですが、通り過ぎてしまいました。五分後くらいにまた通ると、やはり違う、何かピチピチという感じで、一瞬だがイカルの囀りも聞こえました。回り道だったのですが、急いで行ってみると、まだ声が聞こえました。少し待って、樹木のなかに、イカルの姿を捉えることができました。そしてまだ声は続き。なんとか7羽まで確認出来ました。下から見ると腹部の白さ、尾羽の先の白い模様などが確認出来ました。
シメが1羽だけ飛び出しましたが、イカルたちはその後ずっと移動しませんでした。最初に気づいてから10分以上、私が立ち去ってもまだ地鳴きを続けていました。久しぶりの本当に嬉しい出会いでした。
 滝沢ハム池近くのサクラの並木で、オオジュリン1羽見つけました。本当に久しぶりです。ホオジロでも、カシラダカでもない、胸の白さで確認しました。長いことみていないので頭部の感じは今一自信がないのですが、過眼線は確認出来ました。2018年以来です。以前は川岸や河川敷の草地で比較的普通に見られた気がします。
もう一つ、公園のワンド跡の草地で、多数の小鳥のさえずり様の声が聞こえました。カワラヒワでもホオジロでもないので、カシラダカかと思います。カシラダカは夏、渡った先で繁殖なので、この地での声は囀りではなく、グゼリと言うそうです。これも以前、野鳥の会に入りたてで、まだこの記録を付ける以前、教えていただきました。その時は、サクラの並木で聞きました。
 赤津川の水のある場所で、タヒバリ1羽、水浴びをしていました。色合い、顔の模様が確認出来ないのですが、場所的にひとまずタヒバリとしておきました。赤津川の上流にはビンズイが見られるそうです。正確に確認できるようになりたいと思います。
 滝沢ハム付近上空で、カラス大の腹面白く見えるワシタカ発見しました。おそらくオオタカだと思います。
 今季は体調の関係で、あまり寒い時期の探鳥が出来なかったので、この暖かさは冬が去ってしまう前兆か、と慌ててしまいます。今日はいつも見ない鳥たちを見ることになったのは、そのせいでしょうか、どうかもう少しこのままいてほしいと思います。
 公園の川はすっかり水がなくなり、遊びに来た人が作ったケルンがたくさんできていました。どんな所でも、遊びを作ることは素晴らしいことです。
 早咲きの紅梅が咲き始め、またトサミズキが黄色い蕾を膨らませていました。またサクラが咲き出し、季節がめぐり、去る鳥、来る鳥が交代していくのでしょう。
 
カルガモ:公園の東池48羽、西池2羽、赤津川で12羽、9羽、計71羽。
コガモ:滝沢ハム池で17羽。
ヒドリガモ:公園の西池13羽、合流点で5羽、計18羽。
マガモ:公園東池にメ羽、ス1羽。
カワウ: 公園の西池1羽、東池で1羽、計2羽。
キジバト: 滝沢ハム林で3羽。
アオサギ:二杉橋から上人橋1羽、公園で1羽、大岩橋で1羽、滝沢ハム池で1羽、赤津川で1羽、計5羽。
ダイサギ:二杉橋から上人橋2羽、大岩橋下1羽、滝沢ハム池で1羽、赤津川1羽、計5羽。
イカルチドリ:二杉橋上で1羽。
トビ: 公園上空2羽。
オオタカ:滝沢ハム上空で1羽。
モズ:大岩橋付近山林で1羽、公園で1羽、計2羽。
ハシボソカラス・ハシブトガラス:目立った群れはいませんでした。
ムクドリ:二杉橋から上人橋まで2羽、滝沢ハム池付近林で3羽、4羽、計9羽。
スズメ:あまり目立ちませんでした。
ハクセキレイ:二杉橋上で1羽。
セグロセキレイ:公園で1羽、1羽、大岩橋上で2羽、赤津川で1羽、計5羽。
カワラヒワ: 滝沢ハム付近サクラ並木で7羽、公園で11羽、赤津川で15  
 羽、計33羽。
シジュウカラ:大岩橋河川敷林で2羽。
エナガ:大岩橋河川敷林2羽、
ジョウビタキ:大岩橋上林に1羽、
ツグミ:上人橋まで1羽、公園1羽、公園川の対岸に1羽、大岩橋河川敷林2
 羽、滝沢ハム林1羽、赤津川1羽、計7羽。
カシラダカ:二杉橋上の岸の草地で2羽、公園のワンド跡の草地でグゼリ10 
 +(2)、
オオジュリン:滝沢ハム池付近サクラ並木で1羽。
 
 







永野川2021年2月上旬
6日 9:30〜11:30 晴 15℃
 風が少しありましたが、よく晴れ、暖かで動きやすい日でした。
 赤津川から入ると、合流点で大きな工事、少し上流の、落下した橋の工事、と続いていて、ほとんど水はありません。
 岸の草地で、カワラヒワ5羽、1羽、一カ所橋から橋まで工事のない場所があって、そこにセグロセキレイ2羽、ダイサギ1羽、カルガモ4羽、廃瓦工場の木にツグミ2羽、キジバト1羽、いくらかの生息できる場所を求めている感じです。田も一部、工事が入っていて、いつもケリがいる場所も、鳥が近寄らないようです。
 合流点から、広がった河川敷を見ました。
 シジュウカラ、ホオジロの声が聞こえましたが、あとは判別出来ません。スズメが50羽単位で舞い上がりました。
 滝沢ハム池周辺の雑木で、ムクドリ16羽の群れが横切りました。
 池にはカルガモ6羽、コガモ6羽、ここも少ないですね。
 滝沢ハムの敷地につながる隣接する植え込みで、シメらしい声が聞こえ、シメ1羽、また1羽確認でき、喜んでいると、15羽の群れが頭上を越えて公園の方へ飛んで行きました。大きさ、腹面の白さしか見えなかったのですが、シメと確認しました。なぜたくさん停まっているのが見えなかったか、なんとも悔しい気分です。公園で確認出来たら、と思ったのですが、すでに散らばったらしく、確認出来ませんでした。
 サクラ並木でコゲラの声もしていました。
 大岩橋の河川敷林の草地で、声と動きがあって、カシラダカが5羽、今日はここにいたのかという想いです。ほんとはもっといるはずなのだけれどこれも悔しい思いです。
 前回に続いて、養護施設の敷地にジョウビタキの声がしました。縄張りに決めたのでしょうか。山林でカケスの声、河川敷林でウグイスの声も聞こえました。
 公園の川も水がほとんどなく、ほんの少し残っているところでセグロセキレイ2羽が動いていました。
 公園の東池には、ヒドリガモ19羽、今日はここのみ、カルガモが43羽集まっていました。西池にはコガモが3羽のみ、初めての場所分けという感じです。
 永野川に入ると、上人橋から睦橋までほとんど水が無く、岸辺にアオサギやダイサギが点々としていました。岸辺の木にツグミが1羽見えました。
 中洲がほとんど削られているので、今後どの程度復活するのか心配です。
 二杉橋近くに少し水たまりがあり、ハクセキレイ3羽、イカルチドリが1羽。皆、水を求めているのです。
 状況の悪いわりには、鳥が集まっています。皆、懸命に生きているのです。
 公園のカワヅザクラの蕾はまだ堅く、冬は当分続きます。
 
カルガモ:公園東池で43羽、滝沢ハム池で6羽、赤津川で4羽、計53
コガモ:滝沢ハム池で6羽、公園西池で3羽、計9羽。
ヒドリガモ:公園東池で19羽。
キジバト:赤津川廃瓦工場で1羽。
アオサギ:永野川で1羽、2羽、2羽、1羽、公園東池で1羽、大岩橋付近で1羽、計9羽
ダイサギ:赤津川1羽、公園で1羽、2羽、上人橋上で4羽、永野川で1羽、2羽、1羽、
計12羽。
イカルチドリ: 二杉橋上で1羽。
トビ: 公園で1羽、上人橋付近で1羽、計2羽。
モズ:合流点で1羽、タキザアハム池付近1羽、永野川で1羽、赤津川で1羽、計4羽。
コゲラ: 滝沢ハム付近サクラ並木で1羽、永野川岸で1羽、計2羽
ハシボソカラス・ハシブトカラス:特に目立った群れは見えなかった。
カケス: 大砂橋近くの林で1羽。
ヒヨドリ:最盛期よりも減っている。
ウグイス:大岩橋付近山林で1羽。
ムクドリ: 滝沢ハム池付近で16羽、公園で3羽計19羽、
スズメ:合流点の河川敷で100+、多数で移動する群れが多い。
ハクセキレイ: 二杉橋上に2羽
セグロセキレイ:公園川に2、赤津川に1羽、1羽、 計4羽。
カワラヒワ:公園中洲で7羽、2羽、2羽、赤津川で5羽、1羽、永野川で6羽、計23羽。
シジュウカラ: 合流点河川敷林1羽、大岩橋河川敷林で1羽、計2羽。
ジョウビタキ: 大岩橋付近で1羽。
シメ:滝沢ハム敷地林に1、1、15、公園1、1、計18羽。
ツグミ:赤津川に1羽、1羽、滝沢ハム池付近1羽、公園に1羽、計4羽。
ホオジロ:合流点河川敷1羽、滝沢ハム付近林1羽、計2羽。
カシラダカ: 滝沢ハム池付近林で5羽。
 
付記
 県内のレンジャク飛来情報をいただいたので、市街地のうずま公園へ行ってみましたが、まだ来ていませんでした。
 ヤドリギはたくさんあるのですが、みのりは今一、よく目をこらさないと見え内程度です。少し離れたところにあった大木がなくなり、レンジャクも来にくくなっているのでしょうか。
 メジロの群れやヒヨドリも多く、川にはマガモ、オナガガモ、ヒドリガモが羽を休めていました。鳥のいる環境としてはよいところなのだと思いますが。
 
 







種山ヶ原の風たちU―Wind Gapの意味―  
若き耕地課技手のIrisに対するレシタティヴ(「春と修羅第二集補遺」)
 
測量班の人たちから
ふたゝびひとりぼくははなれて
このうつくしいWind Gap
緑の高地を帰りながら
あちこち濃艶な紫の群落
日に匂ふかきつばたの花彙を
何十となく訪ねて来た
尖ったトランシットだの
だんだらのポールをもって
古期北上と紀元を競ひ
白堊紀からの日を貯へる
準平原の一部から
路線や圃地を截りとったり
岩を析いたりしたあげく
二枚の地図をこしらえあげる
これは張りわたす青天の下に
まがふ方ない原罪である
あしたはふるふモートルと
にぶくかゞやく巨きな犁が
これらのまこと丈高く
靱ふ花軸の幾百や
青い蝋とも絹とも見える
この一一の花蓋と蕋を
反転される黒土の
無数の条に埋めてしまふ
それはさびしい腐植にかはり
やがては粗剛なもろこしや
オートの穂をもつくるだらうが
じつにぼくはこの冽らかな南の風といっしょに
あらゆるやるせない撫や触や
はてない愛惜を花群に投げる
 
  「種山ヶ原」下書稿一パート二から発展した〔行きすぎる雲の影から〕(「春と修羅第二集補遺」)は、「種山ヶ原の風たち」Tで取り上げた、〔朝日が青く〕と、比較的近い風景が描かれていますが、パート二から三となり、そこから発展した「若き耕地課技手のIrisに対するレシタティヴ」は、放牧場整備のために除去されるIrisについて語られます。
 耕地課とは 昔の稗貫郡か江刺郡の役所の一つの部門で、農学校の教員だった賢治がこの日、耕地課の測量の手伝いをする目的で訪れていたことが推察でき、「耕地課技手」は賢治自身です。そこで目にしたものは、Irisの群落でした。
 Irisはアヤメ科アヤメ属の植物の総称で、ここでは高原に自生する花種で、「紫の群落」をつくっています。詩中で賢治は「かきつばた」と言っています。
この詩の先駆形、「種山ヶ原」下書稿パート二は
わたくしはこのうつくしい山上の野原を通りながら
日光のなかに濃艶な紫いろに燃えてゐる
かきつばたの花をなんぼんとなく折ってきた
じつにわたくしはひそまる土耳古の天の下の
ひとりの貪欲なカリフであらう
それはなるべく(数文字不明)
華麗な花を奪ひあつめて来たのだから、
且つはいくたびこのなだらな高原を刺し
その黒褐の量や表土の深さを記録して
勝利に酔ったひとりのカリフでわたくしはある
……中略……
あゝわたくしはいつか小さな童話の城を築いてゐた
何たる貪婪なカリフでわたくしはあらう  
  ……寂かな黄金のその蕋と
    聖らかな異教徒たちの安息日……
わたくしはこの[一きれの→削除]数片の罪を記録して
風や青ぞらに懺悔しなければならない
 
まだ花の美しさに心を奪われて摘み取り、大地を突き刺して測量してカリフの如く酔っていると言う感覚が強く、懺悔の心は最後の一行のみ、風や青空に対してのものでした。
 定稿「若い耕地課技手のIrisに対するレシタティヴ」では、この測量のあとに来るものに想いが及び、さらに現実的な強い言葉による懺悔が書かれます。「巨きな犂」によって覆され、地中に埋められ黒土に変わり、作物を実らせることに貢献するIrisなのですが、賢治の胸の中には咲き乱れるIrisの残像とともに怒りとも切なさともつかないものがこみ上げています。
 まず「古期北上と紀元を競ひ/白堊紀からの日を貯へる/準平原の一部から」と土地の成り立ちから考えます。遠い歴史と太陽の遺産である大地、人間の都合で人間の社会に組み込まれていく大地への哀惜と、輝く紫色の消失への悲しみが、力強い言葉の端々から感じられます。「種山ヶ原」下書稿では、描ききれなかった想いを、あらためて詩稿をつくることによって表したのだと思います。
 
「若い耕地課技手のIrisに対するレシタティヴ」下書稿には、後半がありました。
 
二列の低い硅板岩に囲まれて
   たゞ恍として青ぞらにのぞむ
   このうつくしい草はらは
   高く粗剛なもろこしや
   水いろをしたオートを載せ
  向ふのはんの林のかげや向ふのはんの林のかげや
   くちなしいろの羊歯の氈には
   粗く質素な移住の小屋が建つだらう
   とは云へそのときこれらの花は
  無心にうたふ唇や
   円かに赤い頬ともなれば
   頭を明るい巾につゝみ
   黒いすもゝの実をちぎる
   やさしい腕にもかはるであらう
   むしろわたくしはそのまだ来ぬ人の名を
   このきらゝかな南の風に
   いくたびイリスと呼びながら
   むらがる青い花紅のなかに
   ふたゝび地図を調へて
   測量班の赤い旗が
   原の向ふにあらはれるのを
  ひとりたのしく待ってゐやう
 
 開墾された土地には人間の生活が始まり、そこにIrisと同様に可憐な女性が登場することを想像しています。定稿では測量と、その後の開墾の予想の事実だけを描き、そこに広がっていたIrisの美しさと、開墾の無残さを一層強く感じさせます。

 この詩で、「風」に関する言葉は、唯一〈このうつくしいWind Gap/緑の高地を帰りながら〉のみでした。Wind gap は地学用語で「風隙」、水隙の対語で、水のない谷です。誤解を避けて幾つかの解説をそのまま記します。
 
尾根筋の鞍部で,かつては川の流路の一部であったが 争奪を受けて恒常流を失った化石河川。横ずれ断層に より形成された閉塞丘により形成される場合がある。(応用地質用語集委員会応用地質学用語集 」(2029,11,25 日本応用地質学会JSEG_yougo.pdf)
 
谷地形は河川の侵食により形成されるため、谷底には水流があるのが普通である。このような谷のことを水隙と呼び、それと対比させる形で水流のない谷のことを風隙と呼ぶ。水流により谷が形成された後に、何らかの地学的なイベントが起こり、水流が消失すると形成される。河川争奪により、河川の水流がなくなることによってできる場合や、活断層の運動によって谷が切断されできる場合がある。地形学的な意義は、風隙が稜線付近に連続的に存在する場所には、活断層があることが多い。そのため、活断層調査において、その分布が調べられることが多い。(ウィキペディアの解説)
 
 風隙の成立段階においては、風そのものとは関係ないようです。
 それで、英語の意味から調べてみようと研究社『新英和大辞典』 第五版 (大型版初刷 1982年9月)のWind Gap の項を見ると
 
川の流れが変わったためにもとの谷底部分が山の背の一部にV字形の鞍部になっている所、
風の通り道になる尾根の切れ目。
 
とありました。賢治がこだわったのは、この「風の通り道」だったのではないでしょうか。
 
 詩の下書稿「種山ヶ原」のパート二の書かれた第一葉裏面にもWind Gapのメモがあります。
さらにwind gapは、もう一例〔青ぞらは〕一九二七、四、二二、(詩ノート 下書稿) に
    
青ぞらは
ひとの白い咽喉を射る
山鳩ねむげにつぶやくひるま
風の〔軋〕りと wind gap の上の巨きな石窟 . . .
 
があります。
 下書稿では最初pass (峠)としたものを、wind gapに変え、「空谷」を併記してあります。
 
 管見した限りでは、「風隙」を用いた詩はなく、賢治は「wind」という「風」を表す言葉を大切に使ったのだと思います。
 
 賢治は「風」という言葉、または文字への愛着で、「風」の付く言葉を使っているかとも考え、ネット上で拾った地質学用語、風成、風積、風洞、風りょう石、『土木工学辞典 』(日刊工業)に掲載の用語、風荷重、風琴振動、風域図、風洞試験、『地学事典』(古今書院  昭和63)に掲載された風圧、風化殻、風化阿系列、風化残量、風隙、風穴、風成層、風簸、風化層、風食、風塵、風成砂、風積土、風魔、を拾い出してみました。さらに「応用地質学用語集 」には五十余りの「風」を冠する語があり、これらの事項は何らかの風の影響を受けているのですが、詩には登場しません。童話では「青木大学士の野宿」に、岩石の風化そのままの意味で使われています。
 
 賢治は、この詩では風によって生じる状態ではなく、風の吹く状景に惹かれていたのだと思います。今後、広く文献にあたって詳考したいと思います。
 
 「レシタティヴ」は、オペラやオラトリオで叙述や会話の部分に用いられる朗読調の歌唱。叙唱です。賢治が多くの西洋音楽のレコードを持ち、豊富な音楽体験があることはよく知られたことです。西洋音楽に自作の詞をつけたり、作品中にも音楽用語がたくさん使われています。例えば「風林」(『春と修羅』)では「向ふの柏木立のうしろの闇が/きらきらつといま顫えたのは/Egmont Overture にちがひない」と、光の状態を比喩的に音楽用語で捉えています。
 賢治が特に気に入っていた楽曲の「レシタティヴ」を探してみたのですが、膨大な賢治の音楽体験を数日で探すことは困難でした。今後の課題です。
 ここでは、語の意味そのままに、歌い込むようにIrisの美しさを描こうという気持ちを表したのではないかと思います。またレシタティヴ―序唱―と言うことは、この後もっとこの詩を発展させようという意気込みだったのかも知れません。
 
 以上の二点から見ても、賢治の表現や風への想いを感じ取ることが出来る作品だと思います。
 
参考文献 石井竹夫 宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の発想の原点としての橄欖  
    の森 −カムパネルラの恋 前編−『人間・植物関係学会雑誌』17 (2) 15〜21ページ、2018、3
     佐藤泰平『宮沢賢治の音楽』 筑摩書房 1995