宮澤賢治、風の世界

宮澤賢治の作品を彩る言葉と風を追って宮澤賢治の世界を訪ねよう。 賢治は風という言葉に何を託したか。風を描くためにどんな言葉を選んだか。 賢治は何を求めて風の中に身を置いたのだろう。 そこに少しでも近づきたくてページを埋めていく。
 
永野川2023年7月下旬
27日 5:30〜7:30  晴 22℃

 薄曇で、幾分涼しい気がしましたが、帰りには充分暑くなってきました。
 二杉橋からはいると、ウグイスの声が聞こえました。川から少し離れた場所のようですが、川の変化にもかかわらず声を聞けるのは嬉しいことです。
 ダイサギが2羽、上空を通り過ぎました。
 中洲にカルガモが1羽のみでした。
 睦橋付近に、ハクセキレイ、2羽、1羽、と歩いていて、1羽は幼鳥でした。セグロセキレイも2羽、1羽岸の辺りを飛んでいました。
ツバメには1羽のみ会いました。
 上人橋付近まで行くと、でホオジロの声が聞こえました。
 
 公園のサクラ並木にモズ1羽鳴き声が聞こえました。
 公園の川に、セグロセキレイ2羽、ツバメが急に増え、3羽、3羽、1羽、2羽と飛びかっていました。
 公園広場の木にシジュウカラが2羽、鳴きながら移動していました。
 公園の池には、鳥はいませんでした。西池に、カイツブリの浮巣のような、草の塊が見えましたが、カイツブリの姿はありませんでした。
 
 大岩橋際のヒノキにキジバトがいて鳴いていました。いつもの鳴き方ですが、これも囀りでしょうか。
 ガビチョウの声が3カ所で聞こえ、今日も山林近くで2羽づれの姿を確認しました。確実に増えている感じがします。
 大砂橋付近河川敷で、ホオジロの囀りが聞こえました。
 公園に戻るとカワウが1羽、川を遡って飛んでいきました。
滝沢ハム池に、アオサギ1羽。ゴイサギ幼鳥が1羽、ここでは珍しいことです。全く移動しませんでした。
 赤津川に入るとカルガモ6羽、3羽、3羽、6羽は幾分小さく幼鳥と思います。ツバメが多く6羽を数えました。
 田にサギが9羽、降りてきました。嘴の感じと頭部の感じでチュウサギとしました。今季初です。季節の鳥に会うのは嬉しいことです。
 確かにオナガの声がしました。公園近くの川沿いの木にオナガが1羽、鳴きながら留まっていました。周囲にムクドリが5羽いました。声だけからすると、時に間違えることがありますが、あの声と姿はオナガです。
 合流点にダイサギ1羽、アオサギが1羽、1羽、もう暑くなりかけて他の鳥は見られませんでした。もう少し早い時間の方がよいのかも知れないが、なかなかできません。
もう少し体力がついたら、少し遠い探鳥地にも行ってみたいと思います。
 
キジバト:大岩橋付近1羽。
カルガモ:二杉橋付近1羽、赤津川で6羽、3羽、3羽、計13羽。
ダイサギ:二杉橋上空1羽、1羽、合流点で1羽、計3羽。
アオサギ:大砂橋付近1羽、滝沢ハム池で1羽、合流点で1羽、1羽、 
 計4羽。
モズ:公園サクラ並木で1羽、大岩橋付近1羽、赤津川で1羽、計3
 羽。
スズメ: 特に目立った群れはない。
ムクドリ:赤津川で5羽。
ハシボソカラス: 特に目立った群れはない。
ハシブトカラス: 特に目立った群れはない。
オナガ:赤津川で1羽。
ツバメ:二杉橋付近1羽、公園で3羽、3羽、1羽、大岩橋付近で2
 羽、赤津川6羽、計16羽。
ウグイス:二杉橋付近1羽、公園草地で1羽、大岩橋河川敷で1羽、計
 3羽。
ハクセキレイ:永野川睦橋付近2羽、1羽、計3羽。
セグロセキレイ:二杉橋付近1羽、2羽、公園1羽、1羽、大砂橋付近
 2羽、計7羽。
シジュウカラ:公園広場、樹木で2羽。
ホオジロ:上人橋付近1羽、大岩橋河川敷で1羽、計2羽。
ガビチョウ:大岩橋上2羽目視、3カ所で声、計5羽。

 







永野川2023年7月中旬
16日 5:30〜7:30 晴 22℃
 
 朝からよく晴れて青空が広がり気持ちの良い日です。この時間でも暑さの予感がします。今季初、錦着山の下でミンミンゼミを聞きました。
 
 合流点は、水かさが増して、浅瀬がなくなっています。カルガモ2羽水辺に見え、セグロセキレイが岸辺を遡っていきました。
 赤津川に入るとムクドリが、5羽、7羽と電線から飛び立ちました。
 田の畔にキジ♂1羽、動きませんでした。
 少し離れた田の畦に、カルガモが12羽並んでいました。遠かったので皆ほとんど同じ大きさに見えましたが、先回見たファミリーだと思います。
 畦にヒバリが1羽下りていましたが、鳴き声は全くしませんでした。
 一瞬、青さを残して、カワセミが2羽、川を遡って行きました。
 水を張った田にダイサギが1羽、コサギが1羽見えました。今年はチュウサギをまだ見ていません。
 公園に入るとウグイスが、三カ所で聞こえました。
 ガビチョウ声、ここでは一カ所のみでした。
 大岩橋付近、上空をゴイサギが2羽遡っていきました。ゴイサギは何故このあたりには下りないのでしょうか。
 河川敷の草むらのへりを、ガビチョウ1羽移動していました。その後大砂橋付近でも、声を聞きました。このところ、ガビチョウが広範囲に棲息しているようです。
 公園のワンド跡付近から、覗いてみると水量がとても多く、川を渡ることはできないし、川辺に下りることもできませんでした。水面に平行に、イソシギが1羽、遡って行きました。
 上人橋上の護岸の上をセグロセキレイが1羽、3羽、と飛んでいました。近くの山林でモズが一声鳴きました。
 広い範囲で、アレチマツヨイグサが、澄んだ黄色い花を咲かせていました。2年前、公園にあった大群落は見事になくなってしまいましたが、どんな手を講じたのでしょうか。シロツメクサの群落もなくなりました。ここは都市公園なので無理なのかも知れませんが、こういった自然の植物の生育も考えれば、予算も少なく、薬品の散布も少なくて済むのではないでしょうか。
 土手の法面にヤブカンゾウの小さめなものが群落を作りつつありますが、これは植栽したのでしょうか。
 
キジ:赤津川田の畦で1羽。
カルガモ:合流点で2羽、赤津川田で12羽、大砂橋付近浅瀬で2羽、 
 上人橋付近で3羽、計19羽。
ダイサギ:赤津川田で、1羽。大砂橋付近で1羽、計2羽。
コサギ: 赤津川田で1羽。
イソシギ: 公園ワンド跡付近で、川を遡って1羽。
モズ:上人橋付近林で1羽。
カワセミ:赤津川を遡って2羽。
スズメ: 特に目立った群れはない。
ムクドリ:赤津川で7羽、5羽、公園サクラ並木で3羽、2羽、計17 
 羽。
ハシボソカラス: 特に目立った群れはない。
ハシブトカラス: 特に目立った群れはない。
ヒバリ:赤津川、田の畦で1羽。
ツバメ:赤津川2羽、3羽、公園で3羽、大岩橋付近で3羽、二杉橋〜 
 上人橋3羽、計14羽。
イワツバメ: 赤津川陶器瓦店付近で5羽。
ウグイス:公園草地で3羽、大岩橋河川敷で1羽、計4羽。
セグロセキレイ:合流点で1羽、上人橋上で1羽、2羽、計4羽。
ガビチョウ:上人橋付近1羽、公園1羽、大岩橋上1羽目視、2カ所で 
 声、計5羽。

 







永野川2023年7月上旬
4日 5:30〜7:30 晴 22℃
 
 よく晴れて気持ちの良い朝です。二杉橋から入ります。
 キジバトが3羽、東岸から西岸の山地の方へ飛んでいきました。
 上人橋までの間、上空を、ダイサギ、ゴイサギが飛び、セグロセキレイが成鳥3羽、幼鳥1羽、ハクセキレイ2羽と岸辺を伝って飛んで行きました。
 ツバメ3羽と遭遇しました。それでもツバメが多い感じがします。
 上人橋付近でカルガモ3羽、2羽、4羽、3羽、と多くなりました。
 公園の池で、鳴き声と共に岸辺にカワセミ2羽見つけました。川を渡って向こう側に行ってしまいましたが、ここで2羽見るとは珍しく、ご褒美です。
 公園内で、ツバメが6羽、5羽、3羽、ここでも多いようです。
 ウグイスは2カ所で囀り、少なくなりました。
 エノキにシジュウカラが2羽、ゆっくり留まっていました。
 公園の川の中洲の草むらでキジが潜んでいました。やはり草むらから、かなり大きいキョキョキョ、キョキョキョ、という声がしました。帰って調べてみるとコジュケイの地鳴きのようでした。
 大岩橋山林で、やはり確認出来ないワシタカの声がします。オオタカとは違うようですし、サシバのような特徴的な声ではありません。
 ホオジロが河川敷の草むらで2カ所で囀り、1羽は姿を見せてくれました。ウグイスは、ここでも2カ所のみでした。。
 大砂橋付近でアオサギ1羽、上空をゴイサギ1羽飛びました。
 セグロセキレイが2羽、2羽と飛びました。
 中洲に添ってここでもカワセミが1羽、獲物でも捕ったのかかなりゆっくりとと移動していました。
 滝沢ハムの裏手の田に、アオサギが1羽、池にも1羽。林にはモズが1羽潜んでいました。
 
 赤津川に入るとツバメが群れていて、珍しく15羽が電線に留っていました。
 水を張ったばかりの田に、カルガモが14羽、ヒナが9羽いました。もう大分大きく、親鳥の半分くらいになっていますが、今季初のヒナです。
 なぜかヒバリの声が聞こえませんでした。
 合流点の中洲に珍しくカワウが1羽姿を見せました。イカルチドリが1羽低く飛んで行きました。
 いつもの鳥がたくさん姿を見せてくれて、ゆっくりと鳥見が楽しめました。
 サクラ並木でニイニイゼミがひっそりと鳴き始めました。
 
キジ:公園の中洲の草むらで1羽。
キジバト:二杉橋付近3羽、大岩橋付近で3羽、計6羽。
コジュケイ: 公園の中洲の草むらで地鳴き。
カルガモ:上人橋上で、3羽、2羽、公園川で、4羽、3羽、大砂橋付近で3羽、赤津川田で成鳥14羽、ヒナ9羽、計38羽。
ダイサギ:赤津川で1羽。
アオサギ:大砂橋付近1羽、滝沢ハム付近田で1羽、池で1羽、計3羽。
ゴイサギ:二杉橋〜上人橋上空1羽、大砂橋付近上空1羽、計2羽
イカルチドリ:合流点で1羽。
タカ不明種:大岩橋付近山林で鳴き声。
モズ:滝沢ハム林で1羽。
カワセミ:公園池で2羽、大砂橋付近で1羽、計3羽。
スズメ: 特に目立った群れはない。
ムクドリ:合流点で2羽。
ハシボソカラス: 特に目立った群れはない。
ハシブトカラス: 特に目立った群れはない。
ツバメ:二杉橋〜上人橋3羽、公園、6羽、5羽、3羽、赤津川電線に15羽、計34羽。
ウグイス:公園草地で1羽、1羽、大岩橋河川敷で2羽、計4羽。
ハクセキレイ:永野川睦橋付近2羽。
セグロセキレイ:永野川二杉橋〜上人橋成鳥4羽、幼鳥1羽、公園4 
 羽、大砂橋付近2羽、2羽、計13羽。
シジュウカラ:公園エノキで2羽。
ホオジロ:大岩橋河川敷草地で2羽、大砂橋付近流入口で1羽、計3 
 羽。
ガビチョウ:上人橋付近1羽、公園1羽、計2羽。

 







永野川2023年6月下旬
25日 5:30〜7:30 晴 23℃
 
 うまく目覚めることができ、5:30には出られました。
 赤津川へ行くまえに合流点を見ました。
 水かさが多くて鳥は見えませんが、イカルチドリの声が2カ所で聞こえて、1羽、2羽、と現れました。その後、コチドリの声が慌ただしく響き、2羽が飛んで行きました。
 岸辺にアオサギが1羽見えました。中洲も草丈が高くて見にくいのですが、多分もっとたくさんの鳥種がいるのではないでしょうか。
 公園の手前でガビチョウの声が響きます。
 赤津川に入ると、カルガモが3羽、先々週あたりからコガモが1羽いるのが気にかかります。
 ツバメは2羽、6羽飛びます。低く飛ぶのは空は晴れていても曇りに向かうのでしょうか。
 アオサギだけが1羽、1羽と眼につきました。
 ヒバリは元気で5カ所で聞こえました。
 公園に入ると、ウグイスが滝沢ハム付近と公園の川の草むら2カ所で囀っていました。永野川から場所を移してくれたのは嬉しいことです。
 滝沢ハムの池手前は、草丈が高くて近づけないのですが、アオサギが1羽見えました。この頃、この池には鳥が少なくなりました。
 ガビチョウの声が公園でも3カ所で聞こえました。今日は随分あちこちで聞こえ、繁殖力の強さを感じます。
 大岩橋付近で、電線に3羽のハシブトカラスがとまっていました。遠くてよく見えませんでしたが、ニャーという感じの声なのでハシブトカラスとしました。小さめなのが2羽、何か羽繕いをしてもらっているように見え、ヒナ2羽、親鳥1羽かと思います。カラスはここでは少なめで、こんな光景は珍しいことです。
 大岩橋付近で、鳥がもつれる姿があり、1羽はキジバトでした。近くの山林でも二カ所で見え、鳴き声が遠くからも響いていました。
ホオジロは大岩橋河川敷で草のトップと、草陰で囀りました。大砂橋近くの流入口の柵でも1羽、ここも定位置のようです。
 セグロセキレイ幼鳥が2羽、成鳥が1羽、少し離れたところでも成鳥1羽、幼鳥が2羽、子育ての季節のようです。
カルガモが5羽固まっていました。もしかすると成長した子連れのファミリーかも知れません。今年はまだヒナの行列を見ていません。
 ここでもガビチョウが2カ所で聞こえたほか、1羽が目の前に飛び出して鳴きました。
 山林でワシタカらしい声が響くのですが、特定できず、不明種としました。記憶にはあるのですが、名前が浮かびません。
 山林から田へモズが1羽飛び出しました。
 公園の川縁に行くと、大木で動きがあってカワセミの声がしきりにしていました。動きが速くはっきりと捉えられませんが、カワセミだと思います。川は水かさが増しているので、近寄れないのかもしれません。
 ムクドリが芝生で5羽歩いていました。
 上人橋近くでハクセキレイ1羽、ツバメ3羽、睦橋近くでイカルチドリが1羽、遡って行きました。
 
 定位置ので、定番の鳥に会えてよかったと思います。
 
 いつも歩いているという年配の男性にカッコウのことを聞くことができました。やはりこの何年か聞かないといいます。やっと宿題を果たせたような気がします。今年はホトトギスも聞き逃してしまいました。
 
 キリギリスが鳴き始め、夏の始まりです。
 
カルガモ:赤津川で3羽、2羽、1羽、大砂橋付近で1羽、1羽、5 
 羽、2羽、計15羽。
コガモ:赤津川で1羽。
アオサギ:合流点に1羽、赤津川に1羽、1羽、滝沢ハム池に1羽、
 永野川に1羽、計5羽。 
イカルチドリ:合流点で1羽、2羽、睦橋付近で1羽、計4羽。
コチドリ: 合流点で2羽。
タカ不明種:大岩橋付近山林で鳴き声。
モズ:大岩橋付近田で1羽。
カワセミ:公園、エノキの大木で1羽。
スズメ: 特に目立った群れはない。
ムクドリ:公園芝生で5羽。
ハシボソカラス: 特に目立った群れはない。
ハシブトカラス: 特に目立った群れはない。大岩橋付近電線で親1羽、 
 巣立ちヒナ2羽。
ヒバリ:赤津川4カ所声を聞く。
ツバメ:赤津川2羽、6羽、永野川3羽、合流点1羽、計12羽。
ウグイス:公園草地で1羽、1羽、1羽、大岩橋河川敷で2羽、
 計5羽。
ハクセキレイ:合流点で1羽。
セグロセキレイ:大砂橋付近、1羽、1羽、幼鳥2羽、合流点付近で
 幼鳥2羽、成鳥1羽、計7羽。
ホオジロ:大岩橋河川敷草地で2羽、大砂橋付近流入口で1羽、計3
 羽。
ガビチョウ:公園で1羽、1羽、1羽、大岩橋山林で2羽、1羽、
 計6羽。

 
 







2023/06/30 17:06:00|コミック
ますむらひろし『銀河鉄道の夜』 new version 四次稿編 を読む
 息子から、ますむらひろし『銀河鉄道の夜』 四次稿編 (全4巻 発行 有限会社風呂猫 )の既刊1巻から3巻までをプレゼントされた。
 コミック好きで、このところ飼い猫に夢中の息子は、谷中の「ギャラリー猫町」、「ますむらひろし『銀河鉄道の夜』第三巻 ラフスケッチ展」に出かけたらしい。
 扉裏に、私宛のますむら氏自筆のイラストがある。自分ではとても買えないものである。
 
 私のますむらひろしとの関わりは深くはなく、まず1985年の、アニメ「銀河鉄道の夜」である。宮沢賢治作品の映像化や絵画化などは、自分のイメージが壊されそうで避けてきたが、猫ならばそれはないと思い、自身が猫好きだったことも手伝って、小学生の息子と見に行った。
 画面の色彩が美しく猫は可愛く、西欧風の背景は、なるほどこんなものかな、と思った。息子には、あまり自分の賢治への想いは強制したくないと思っていたので、のんびり楽しもう、と言った。
 その後、何かの機会に、ますむらひろしのコミックを見たとき、映像とかけ離れていて失望した。私は映像化されたものを見ただけであって、ますむらひろしの本質を知っていたわけではなかった。
 
 知り得た限りで、ますむらひろしの賢治関係の出版物を追って見る。
 
1972 「猫の事務所」に登場する「かまねこ」のイメージに惹かれ 
 書いた、「霧にむせぶ夜」で「手塚治虫賞」第二位となり漫画家
 デビュー 
1982 賢治作品を「猫をキャラクターにして漫画化」の企画
1983 3冊本 「KENJI by CATS」 出版(朝日ソノラマ?)
1985 劇場用アニメ「銀河鉄道の夜」公開100万人を動員する作 
 品となる。
1991 1冊本『KENJI by CATS ますむら版 宮沢賢治童話集』 朝日ソノラマ  765ページ
内容「銀河鉄道の夜」(初期形)ブロカニロ博士篇、「雪渡り」、「十力の金剛石」、「猫の事務所」、「風の又三郎」、「どんぐりと山猫」、「グスコーブドリの伝記」、「銀河鉄道の夜」(第四次稿)
1998 『イーハトーブ乱入記 』(ちくま新書)
2014〜 『赤旗』日曜版に短編童話を連載。作品は「やまなし」「虔十公園林」「オツベルと象」「ひかりの素足」。
2015 上記作品は3冊本でミキハウスから単行本3冊として発行される。
2020、1〜『赤旗』日曜版で「銀河鉄道の夜」第四次稿、連載始まる
2020、10 『銀河鉄道の夜 new version四次稿編』第一巻 風呂猫
  初出「しんぶん赤旗」日曜版2019年12月29日・2020年1月5日合併号〜2020年6月28日
2021、5 第二巻(初出「しんぶん赤旗」日曜版2020年6月28日〜2020年12月20 

2023、5 第三巻(初出「しんぶん赤旗」日曜版 2022年7月3日〜2022年12月20日
 
 私が手にしたのは、息子にプレゼントされた、1991刊の一冊本『KENJI by CATS ますむら版 宮沢賢治童話集』の古本、次も息子のプレゼントのこの豪華4冊本である。
 
 少し詳しく知りたいと思い、「なぜ、ますむらひろしは宮沢賢治の名作『銀河鉄道の夜』を幾度も猫で描くのか」(https://brutus.jp )を拾い読みした。
 ますむらひろしが、賢治に最初に愛着を感じたのが「猫の事務所」の「かまねこ」(竈猫・かまどねこ)だったことを知り、勝手ながら我が意を得たり、と思った。
 賢治作品には、美しい言葉や風景、面白いストーリーがあるが、いつも底に流れているのは、疎外感ではないかと思う。私はそこに惹かれ賢治にのめり込んだのだが、なかなか共感してくれる人には会えなかった。
 農学校時代も凶作の時に描いた詩では、どうしようもない自然の前に無力な自分を歌い、農民のために身を投じた農村の生活の詩では、周囲から理解されていないことの悲しみを歌う。
 私の一番好きな「ポラーノの広場」でも最後には協同組合の仕事に参加出来ず都会の新聞社の輪転機の片隅に働く姿がある。
 「銀河鉄道の夜」は人との永遠の別れがテーマだが、底にジョバンニの抱える周囲からの疎外感がなければ、作品はもっと軽いものになっているのではないだろうか。
 
 この本で、一番惹かれたのは、ジョバンニの眼の悲しさである。今までになかったくらい悲しい。そして瞳には少女漫画のように星が描かれている。もちろん猫風に。以前の版では、むしろカンパネルラの眼に感じられたが、こちらでは、ジョバンニのほうが、カンパネルラとの永遠の別れを予感しているような悲しさだ。そして半開きの口元も悲しい。
 
 この物語の空には星がない、というのも初めて知った。夕焼け後空は星のない桔梗色という。星も煌めいていない空、それは吸い込まれるように悲しいものだろう。
 この三作の表紙の色の青にも惹かれた。これは鋼青と黒を基調にしているのではないだろうか。「鋼青」は賢治の作品の度々登場する賢治の色である。「銀河鉄道の夜」の、「六、銀河ステーション」にもある。
 
それはだんだんはっきりして、たうとうりんとうごかないやうになり、濃い鋼青のそらの野原にたちました
 
さらに「インドラの網」でも、
 
それは空気の中に何かしらそらぞらしい硝子の分子のやうなものが浮かんで来たのでもわかりましたが第一東の九つの小さな青い星で囲まれたそらの泉水のやうなものが大へん光が弱くなりそこの空は早くも鋼青から天河石の板に変わってゐたいたことから実ににあきらかだったのです。その冷たい桔梗色の底光りする空間を一人の天が翔けてゐるのを私は見ました。
 
と変わりゆく空の一瞬を捉えている。
 
特に、深い印象を与えるのは、「銀河鉄道の夜」の原点とも言える、亡き妹トシを求める詩「風林」(『春と修羅』)である。
 
  ……
とし子とし子
  野原へ来れば 
  また風の中に立てば
  きっとおまへをおもひだす
  おまへはその巨きな木星のうへに居るのか
  鋼青壮麗のそらのむかふ
   (ああけれどもそのどこか知れないも空間で
    光の紐やオーケストラがほんたうにあるのか
……
 そのほか「谷」(『春と修羅』)では、「硝子様(やう)鋼青のことばをつかつて」、「東岩手火山」(『春と修羅』)では、「さうだ、オリオンの右肩から/ほんたうに鋼青の壮麗が/ふるえて私にやつて来る」、「空明と傷痍」一九二四、二、一七、(「春と修羅第二集」)では、「……ところがおれの右掌(て)の傷は/鋼青いろの等寒線に/わくわくわくわく囲まれてゐる……」、〔北いっぱいの星ぞらに〕一九二四、八、一七(「春と修羅第二集」)では「東銀河の聯邦の/ダイアモンドのトラストが/かくして置いた宝石を/みんないちどにあの鋼青の銀河の水に/ぶちまけたとでもいったふう」と、冷たい夜空の形容や比喩的な形容に使われている。そしてまた賢治ファンにとっても好きな色なのだ。
 もうひとつ、この改稿で変わったものには、皆が座る列車の座席がある。モデルとなった岩手軽便鉄道は狭軌のため、座席はボックスではなく、ロングシートだったことが分かり、描き直されている。第二巻の跋文にはそれによって解ける謎のことや、また列車の音も賢治の記したように「ごとごと」であることも記される。
 
 この三冊が、胸に重く響くのは、賢治の作品を愛して、長い時間をかけて細かく読み解き、ご自分でも猫も愛し、600頁もの大作に書き上げた、ますむらひろしの心だと思う