宮澤賢治、風の世界

宮澤賢治の作品を彩る言葉と風を追って宮澤賢治の世界を訪ねよう。 賢治は風という言葉に何を託したか。風を描くためにどんな言葉を選んだか。 賢治は何を求めて風の中に身を置いたのだろう。 そこに少しでも近づきたくてページを埋めていく。
 
永野川2026年6月下旬
9:00〜11:00 
曇 22℃

 台風と雨季とが重なって雨が続き、出かけられませんでした。
 早朝を計画していたのですが、思いがけず7:00頃から雨が上がったので思い切って出かけました。
 睦橋に出ると幾分霧が降り、迷いましたが半分行程でも回ろうとしているうちに、何とか上がってくれました。
 昨夜までの雨で、水量が増え、中洲も浅瀬もなかったので鳥種も少なく、二杉橋の近くではコサギが腹部まで水につかっていましたし、カワウはたっぷりの水に十分潜水できていました。
 
 何よりも嬉しかったのは、公園で、カイツブリが2羽のヒナを連れていたことです。
 もう浮巣はなく、ヒナも親の半分程度の大きさになっていましたが、3羽はつかず離れず、まさに「親子の肖像」でした。
 周囲は赤い藻(?)で覆われて、泳ぐ場所もないようなのに、頑張ったな、と思います。
 こんなところで繁殖せざるを得ないことは、不幸だとも思いますが、まずは嬉しいことです。
 赤津川の水田の畦道で、カワラヒワが1羽で降りていました。少し前にも1羽で見かけましたが、今の時季、カワラヒワの多数はどこで過ごしているのでしょう。
 ホオジロが河川敷や川床の草むらであちこちで囀って元気です。また冬にはたくさんのホオジロ類の鳥が来てくれることを祈って、生い茂る草むらを眺めています。
 ヤブカンゾウが花を開き始めていました。
 
コジュケイ: 永野川睦橋付近1羽。
カワウ: 永野川二杉橋付近1羽。
カイツブリ: 公園西池3羽(親鳥1、ヒナ2)
カルガモ、永野川睦橋付近2羽、公園1羽、合流点錦着山裏水田6羽 
 (親1羽、若鳥5羽)、1羽、計10羽。
コサギ: 永野川二杉橋付近1羽。
アオサギ: 公園1羽、合流点堰付近1羽、赤津川1羽、計3羽。
キジバト: 永野川二杉橋付近1羽、大岩橋河川敷2羽、計3羽。
コゲラ: 公園1羽。
スズメ:永野川睦橋付近1羽、公園3羽、大岩橋付近3羽、大砂橋付近
 水田15羽、合流点5羽、計27羽。
ハシボソカラス:公園2羽。
ヒバリ: 赤津川田で2か所囀り。
ツバメ:永野川二杉橋〜上人橋5羽、公園2羽、3羽、赤津川7羽、
 計17羽。
ヒヨドリ:公園2羽。
ウグイス:永野川睦橋付近2羽。
セグロセキレイ:合流点1羽、赤津川2羽、計3羽。
カワラヒワ: 赤津川1羽。
シジュウカラ: 公園1羽。
ホオジロ:永野川睦橋付近1羽、公園1羽、1羽、大岩橋河川敷4羽、 
 合流点1羽、計7羽。
ガビチョウ:大岩橋河川敷1羽。

 
 







永野川2026年6月中旬
16日 
9:00〜11:30
晴 25℃

 気温は高かったのですが、風が心地よく吹き、歩きやすい日でした。
 相変わらず鳥があまり出てきません。次は早朝にしようと思います。
 合流点の上空をカルガモが6羽南に飛んでゆき、数分後に、8羽の群れがやはり南に飛びました。この時、季群れで移動はなぜでしょう。
 錦着山裏の水田で耕運機の後をハシボソカラスが3羽、水田中の虫を集めてついて歩いていました。ハシボソカラスのこの行動は初めて見ました。
 滝沢ハム工場の庭木には、ハシボソカラス、小さくてまだ動きもままならい感じのもの2羽、おそらくこの付近で営巣したものの若鳥でしょう。
 赤津川の水田の電線に、モズ1羽、過眼線などが薄く若鳥ではないかと思います。ただずっと鳴いている声はジュクジュクジュク、というスズメに似た声で、何かの鳴きまねかもしれません。
 赤津川の水田は麦を刈り取って、田植え作業の途中が多く、鳥たちはいませんでした。ヒバリの声がいつもより小さく聞こえました。
 大砂橋付近の林ではメジロの声のみ聞こえました。
 河川敷ではホオジロの声が盛んでした。何か他の鳥が混じっている気配もします。この間聞いたアオジの声以外にも少し違うたくさんの声を感じます。努力不足です。
 今日の最後の行程、永野川の岸では、ツバメが次々に飛んで、8羽を数えました。

 合流点のバンは健在でした。
 公園の池には何もいなくなりました。もう一度川をきれいにすることに向けて行政も動いてほしいものです。
 
カワウ: 永野川睦橋付近1羽。
バン:合流点上人橋付近1羽。
カルガモ、合流点上空6羽、8羽、永野川睦橋付近2羽、1羽、
 計17羽。
ダイサギ: 永野川二杉橋付近上空1羽。
アオサギ: 永野川上人橋付近1羽。
モズ:赤津川水田電柱1羽鳴きまね。
スズメ:赤津川3羽、滝沢ハム付近2羽、計5羽。
ハシボソカラス:錦着山裏水田3羽。公園3羽、滝沢ハム林2羽、
 計8羽。
ハシブトカラス:公園1羽。
ヒバリ: 赤津川田で2か所囀り。
ツバメ:合流点2羽、赤津川2羽、大岩橋付近3羽、永野川二杉橋〜
 上人橋8羽、計15羽。
ヒヨドリ:滝沢ハム付近2羽、大砂橋付近林2羽、計4羽。
ウグイス:合流点1羽、1羽、公園1羽、大岩橋付近1羽、計4羽。
メジロ: 大砂橋付近山林1羽。
ホオジロ:合流点1羽、滝沢ハム林1羽、大岩橋河川敷1羽、3羽、
 計6羽。
ガビチョウ:公園1羽。
 

 







永野川2026年6月上旬

6日 
9:30〜12:00
曇 21℃
 
 薄曇りで風もなく歩きやすい日でした。
 曇がちなせいかツバメが低空をひっきりなしによぎって行きました。
 上人橋から下の草むらを、一瞬赤い額盤のバンがよぎりました。もう一度見えたので、ここで成長しているのだと確信できました。
 過ごしやすい日なのに鳥の姿が見えません。
 公園の池の赤い藻は前面に広がり、全く鳥が見えないのです。西池の一番遠いところに、畳一枚くらいの水面が見え、そこにカイツブリが1羽、懸命に羽ばたいていました。羽を洗っているようにも見え、つらいことでした。先回は浮巣状のものの上にいたので、もしかして抱卵か、と思ったのですが、わからなくなりました。赤い藻の正体はなんでしょう。何か薬剤かなにかで、故意にやっていることなのかもしれません。
 珍しく、公園の川からカワセミが魚をくわえて岸のヨシに飛び移りました。岸も中州も草に覆われ、樹木は取り去られ、以前のように、典型的なカワセミの採餌の姿は見えなくなっていましたが、久しぶりでした。
 今日は公園内にカラスが多く鳴き声が飛び交っていました。はっきりペアと分かるものもいて、ここも繁殖期華やかなのかもしれません。
 滝沢ハムの林付近の通路を、幾分小さいスズメたくさん移動していました。歩くのも危なげ、巣立ち雛かと思います。野良猫がたくさん潜んでいます。気をつけて育ってほしいです。
 河川敷や河原の草むらではホオジロがあちこちで囀っていました。
 オオヨシキリもホトトギスもいませんでしたが、何とか頑張って営みを続けている鳥たちに会えて幸いでした。
 
カイツブリ:西池1羽。
バン:合流点上人橋付近1羽。
カルガモ、永野川睦橋付近2羽、1羽、赤津川2羽、計5羽。
ダイサギ: 大砂橋付近1羽。
サギSP: 永野川睦橋上空1羽、公園上空1羽、計2羽。
トビ: 大砂橋上空1羽。
モズ: 永野川睦橋付近1羽。
カワセミ: 公園川1羽。
スズメ:永野川睦橋付近2羽、公園7羽、計9羽。
ムクドリ: 赤津川5羽。
ハシボソカラス:公園5羽、大岩橋付近2羽、計7羽。
ハシブトカラス:公園3羽、5羽、大岩橋付近2羽、1羽、計11羽。
ヒバリ: 赤津川田で1か所囀り。
ツバメ:永野川二杉橋〜上人橋1羽、1羽、1羽、1羽、 公園3羽、
 2羽、3羽、7羽、赤津川2羽、計21羽。
ヒヨドリ:大岩橋付近2羽。
ウグイス:永野川二杉橋付近1羽、上人橋付近1羽、大岩橋付近1羽、 
 大砂橋付近1羽、計4羽。
セグロセキレイ:永野川二杉橋付近1羽、合流点1羽、計2羽。
ハクセキレイ: 公園1羽(幼鳥)。
カワラヒワ: 永野川二杉橋付近1羽囀り、公園1羽囀り、
 大岩橋付近1羽囀り、1羽、計4羽。
ホオジロ:公園川の中州草むら1羽、2羽、大岩橋付近2羽、2羽、
 2羽、1羽、計8羽。
ガビチョウ:永野川上人橋付近1羽、公園1羽、大岩橋河川敷1羽、
 赤津川1羽、計4羽。

 
 







永野川2026年5月下旬
25日 
9:30〜12:00 晴 24℃
 季節的に幾らか霞がかっていましたが、歩きやすい探鳥日和でした。
 今日はたくさん夏鳥に会えました。
 鳥たちがほとんど見えない赤津川で、突然オオヨシキリの声を聞きました。あまりヨシも繁っていない川辺の草むら、少しツルヨシがあったかもしれませんが、本当に貧しい環境ですが、感謝です。この区間は護岸工事がほとんどされていなくて自然が残っている場所ではあるのですが、それにしても少ない緑のなか、今年も声が聴けました。本当に感謝です。
 それとチュウサギ、永野川二杉橋付近の浅瀬、口の位置、大きさ、顔の感じ、1羽だけです。もう渡ってきて分散したのでしょうか。
 二杉橋の近くで、キョッキョッキョとかなり大きな声がしました。鳥種をしばらく思い出せず、家に帰って鳴き声図鑑で聞いて、ホトトギスだと思いました。少し抑揚がないのですが、このよく通る声はホトトギス、でも例年太平山から聞けてくるのですが、今年は確かに近くにいる感じです。会えるといいと思います。
 ムクドリがたくさんいました。これも季節でしょうか。赤津川の廃瓦工場の後の大木にたくさん集まって、ここから次々に飛んでくるようです。50羽+とカウントしました。その後も公園などで11羽に会いました。
 九反田橋の公園入口に続く道に大きな桑の木があり実をたくさんつけていて、いろいろな鳥が見えかくれします。
 ウグイスが鳴いていて1羽、双眼鏡に入りました。ここでは初めてです。
 それとシジュウカラではないカラ類の小さな地鳴きが聞こえてヤマガラのようでした。
 ホトトギスと同様、実力の無さに落胆します。
 
 大砂橋の中州では、今日またキセキレイが餌を探していました。
 公園の池はまた赤い藻が?浮いていましたが、カイツブリが1羽、潜水して小さな魚をとらえてきて食料とすべく格闘していました。もしかすると小さな巣の上にいるのように見えました。
 とても静かな、地味な日でしたが、夏鳥が懸命に生きてくれて、感激でした。もっといい環境を備えてやれればいいのですが……。
 
キジ: 公園1羽、大岩橋河川敷1羽、滝沢ハム付近1羽、計3羽。 
コジュケイ:大岩橋河川敷1羽。
カワウ:永野川睦橋付近1羽夏羽、上空1羽、計2羽。
カイツブリ:東池1羽。
カルガモ、赤津川7羽、1羽、計8羽。
チュウサギ 永野川二杉橋付近1羽。
アオサギ:永野川睦橋付近1羽、滝沢ハム付近1羽、計2羽。
キジバト: 赤津川1羽。
ホトトギス: 永野川、二杉橋付近1羽。
スズメ:赤津川7羽、公園5羽、計12羽。
ムクドリ: 赤津川4羽、7羽、50羽+。計50羽+、11羽。
ハシボソカラス:赤津川1羽、公園2羽、計3羽。
ハシブトカラス:公園5羽、大岩橋付近1羽、計6羽。
ヒバリ: 赤津川田で2か所囀り。
ツバメ: 赤津川3羽、3羽、公園5羽、永野川5羽、計16羽。
ヒヨドリ:永野川二杉橋付近7羽。
ウグイス:公園1羽姿、永野川二杉橋付近1羽、計2羽。
オオヨシキリ: 赤津川川沿いのヨシに3羽鳴き声。
セグロセキレイ: 永野川二杉橋付近1羽。
キセキレイ: 大砂橋付近中州1羽。
カワラヒワ: 公園1羽草むら1羽、大岩橋河川敷1羽囀り、計2羽。
ヤマガラ: 公園桑の木の1羽。
ホオジロ:公園1羽、1羽、1羽、大岩橋河川敷1羽、公園池1羽、計5羽。
ガビチョウ:滝沢ハム付近1羽。公園1羽、計2羽。

 
 
 
 







種山ヶ原詩群とその周辺 二
 「種山ヶ原詩群とその周辺 一」の続き

八、「三六九 岩手軽便鉄道 七月(ジャズ)一九二五、七、一九、」
   ぎざぎざの斑糲岩の岨づたひ
   膠質のつめたい波をながす
   北上第七支流の岸を
   せはしく顫へたびたびひどくはねあがり
   まっしぐらに西の野原に奔けおりる
   岩手軽便鉄道の
   今日の終りの列車である
   ことさらにまぶしさうな眼つきをして
   夏らしいラヴスィンをつくらうが
   うつうつとしてイリドスミンの鉱床などを考へようが
   木影もすべり
   種山あたり雷の微塵をかがやかし
   列車はごうごう走ってゆく
   おほまつよひぐさの群落や
   イリスの青い火のなかを
   狂気のやうに踊りながら
   第三紀末の紅い巨礫層の截り割りでも
   ディアラヂットの崖みちでも
   一つや二つ岩が線路にこぼれてようと
   積雲が灼けようと崩れようと
   こちらは全線の終列車
   シグナルもタブレットもあったもんでなく
   とび乗りのできないやつは乗せないし
   とび降りぐらゐやれないものは
   もうどこまででも連れて行って
   北極あたりの大避暑市でおろしたり
   銀河の発電所や西のちぢれた鉛の雲の鉱山あたり
   ふしぎな仕事に案内したり
   谷間の風も白い火花もごっちゃごちゃ
   接吻(キス)をしようと詐欺をやらうと
   ごとごとぶるぶるゆれて顫へる窓の玻璃(ガラス)
   二町五町の山ばたも
   壊れかかった香魚(あゆ)やなも
   どんどんうしろへ飛ばしてしまって
   ただ一さんに野原をさしてかけおりる
         本社の西行各列車は
         運行敢て軌によらざれば
         振動けだし常ならず
         されどまたよく鬱血をもみさげ
          ……Prrrrr Pirr!……
         心肝をもみほごすが故に
         のぼせ性こり性の人に効あり
   さうだやっぱりイリドスミンや白金鉱区(やま)の目論見は
   鉱染よりは砂鉱の方でたてるのだった
   それとももいちど阿原峠や江刺堺を洗ってみるか
   いいやあっちは到底おれの根気の外だと考へようが
   恋はやさし野べの花よ
   一生わたくしかはりませんと
   騎士の誓約強いベースで鳴りひびかうが
   そいつもこいつもみんな地塊の夏の泡
   いるかのやうに踊りながらはねあがりながら
   もう積雲の焦げたトンネルも通り抜け
   緑青を吐く松の林も
   続々うしろへたたんでしまって
   なほいっしんに野原をさしてかけおりる
   わが親愛なる布佐機関手が運転する
   岩手軽便鉄道の
   最後の下り列車である
 
「三六九 岩手軽便鉄道 七月(ジャズ)一九二五、七、一九、」は種山ヶ原からの帰りに乗った岩手軽便鉄道の情景である。
岩手軽便鉄道を西向きに乗った時の下り坂を背景に、列車のスピードに身を任せた高揚した気分が描かれる。
「ラブスィン」はラブシーン、映画やテレビドラマなどで恋人同士が愛を交わす場面を指す言葉、主に抱擁やキスシーンという。 
 国内における「ジャズ」は、1910年代半ば(明治末から大正初め)に太平洋航路客船の楽団の日本人演奏者たちが、演奏を試み始めたのが始まりで、東京の映画館で無声映画の伴奏などから広まって、この詩の作られた1920年代に入るとダンスの興隆とともに、東京や関西にできたダンスホールの楽団員たちがレコードを聴きながらジャズを研究するようになる。1923年にはバイオリン奏者の井田一郎(1894-1972)が、日本初のプロのジャズ・バンド、ラフィング・スターズを結成している。
賢治は、クラシック音楽とともに好んだと思われ、童話「セロ弾きのゴーシュ」の中でゴーシュは「何だ愉快な馬車屋ってジャズか。」、「ふう、変な曲だなあ」と感想をもらしたりしている。 ここでは「せはしく顫へたびたびひどくはねあがり」「狂気のやうに踊りながら」などと、軽便鉄道をジャズのリズムに合わせて軽快に描いている。
「ディアラヂット」は、異剥輝石で、輝石のうちで、真珠光沢や金属光沢があり、劈開が発達して複雑にはがれるもので、崖の崩れやすいさまの形容か。甘いラブシーンを想像するのも、鉱脈のことを考えるのもどちらも並行して考えられる、という感覚だろうか。
「イリドスミン」は前述の詩でも述べたように、賢治は種山ヶ原の岩石はイリジウムを含むと感じていた。でもここでは、その採掘は自分の思考の外である。
オペラの歌が頭を楽しくよぎる。
「……Prrrrr Pirr!……」とういうローマ字表記で表される振動は心地よい振動であろう。「心肝をもみほごすが故に/のぼせ性こり性の人に効あり」と言う。
一日かけて歩いた、種山ヶ原の情景に酔い、心地よい疲れのなか、鉱山採掘の懸念も周囲の松林の風景もすべて、火花を散らせる列車のスピードに身を任せているような感覚がある。この感覚は花巻に帰った賢治にどんな力をもたらしたのだろうか。ある種の現実容認の力となっているだろうか。次に展開される詩に何かを感じることができるだろうか。
この作品は「『ジャズ』夏のはなしです」として、1926(大正15)年8月、『銅鑼』生前発表されている。
 
この二日間の歩行の中で、賢治は何を感じ、というよりも何を体得したのだろうか。
この詩群で賢治は、高等農林時代の地質調査の旅、その時の短歌にも読み込まれた大きな自然とそれを形作る大地の鉱物、農学校教師時代に訪ねた軍馬補充部の思い出などによって、風景の中に、そこに生きる人々の想いを多く汲み上げているのではないか。
農業の実践という目標を持ち歩き始めた賢治の新しい視線ととらえてもいいのではないか。そして、ここから賢治の心象とその表現はどう変わっていったのか、考えていきたい。
 
注1 『新校本全集16下補遺・資料・年譜篇』
注2 伊藤光弥『森からの手紙 宮沢賢治 地図の旅』(洋々社 2004)104ページ
注3『新校本宮澤賢治全集第三巻校異篇』
注4 加倉井厚夫HP賢治の事務所」「「鉱染とネクタイの創作」
注5 鈴木健司「宮沢賢治文学における地学的想像力 補遺二題、『文教大学文学部紀要 
26巻2号』
注6 信時哲郎『宮沢賢治「文語詩稿一百篇」評釈』(和泉書院 2019)430p
注7 自著 『宮沢賢治 風を織る言葉』(勉誠出版 2003)「賢治の見た風」12ページ
 
参考文献
HP浜垣誠司「宮沢賢治の詩の世界」「種山ヶ原 詩群」