たまには労務絡みのネタで。
現場負担、放置のツケ 愛育病院が指定返上基準法を遵守するには当直医を増やさないと無理ということですね。ところが医療の世界では、簡単に増やすというわけにいきません。
医師の給与はそこらへんの事務屋なんぞとは桁違い。それだけ激務だし、レベルも高くカネもかかってます。当然、一人の医師を採用すれば年に千万レベルのコスト増。しかも診療報酬は下がっているので病院経営は火の車。
しかも設備は最新が必要だし、施設もきれいにしてないと患者が離れていく。どこぞのコンサルみたいに、自分でペンキ塗ってごまかすわけにいかないんです。
コストのことはさておき、最も困ったのはそもそも人が集まらない。特に産科、小児科は直接生き死にに関わる現場で昼夜の別がない世界。胎児に「診療時間終了です」は通じません。しかも万一事故れば莫大な慰謝料と免許に傷。へたすりゃ逮捕〜。何にもいいことない。
そんなわけで、医大の学生でこの診療科を標榜するのは純粋に博愛の精神持った神のような人か、よほどの酔狂。カネとか時間が、とか言ってる奴は絶対きません。
私も一時、病院の人事課長やったことありますが、他のことはどうでもいい。人集めだけが勝負。ところが、特に地方では医師どころか看護士も集まらない惨状。ヘルパーに補助頼まないと回りません。厳密には医師法違反ですがね。
院長が人付き合いあまりしてなかったせいか、医局のツテも期待薄。
特に連休時のスケジュール組むのがどうにもならない。基準法云々なんぞ言ってたら病院閉めるしかないんです。
仕方なく、気の弱いいつもの先生に半強制でお願いしたり、隠居した大先生を引っ張り出したりと、なんとかつなぐだけで精一杯。一時は、オレが白衣着て看ちゃおうかと半分本気で言ったことも。さすがに産科は無理ですが。
医療の世界では、はっきり言って基準法は無視。こういうのを知らない事務長が多いこともありますが、現実的に守るのは不可能!(きっぱり)
社労士がこんなこと言っちゃまずいでしょうが、無理なものは無理。患者を何とかしようと思う病院ほど、このジレンマになります。
じゃ、守れない前提でどうするべ、という按配にならざるを得ません。(ヒント:守ろうとする姿勢を残す)
医療の世界は基準法だけでなく、医療法や医師法というとても面倒な法規制に縛られてます。
医師法には応招義務ってのがあり、カネ持ってないどこの馬の骨かわからん奴でも診療しなくちゃならない。まさに自分の命を削っての仕事です。
医療法には、こういう病院は何人以上の医師と看護士を常駐させろ、という基準があり、地元の保健所が実地調査に来ます。これが入ると事務長は数ヶ月前から忙殺。(書類偽装しなきゃならんのでね)
ちなみに、医療法人の理事長は医師じゃないとダメなんです。経営の素人が理事長なんですね。だからしっかりした事務長が必要です。
そんな経営の要たる事務長が、くだらん検査と後ろ向きの仕事で忙殺。
こんなところに監督署来られたら、アハハ・・・笑うっきゃない。