木曽駒ヶ岳登頂下山までは、弱者に基準を合わせて登山したので、疲れが殆どでなかった。 昨日抗がん剤治療から退院したばかりで体力も充分でないのに、足取りは極めて軽かった。 全く疲労感が無く、久々の山に浮かれ、UENさんを残し宝剣岳にも登ろうと提案していた。 でもSEO君もおり、結局一人で登る破目になる。登頂は無事達成するも次の行動が大失態。
UEN女史SEO君は先に八丁坂をおりて、ロープウェー駅にて待つ約束を取り付けて、登頂後に急いで追いかける手筈になっていた。往復50分足らずで宝剣岳を下り、急げば途中で追いつけるかもと先を急いだのが第一の間違い。宝剣岳山荘脇の道標べを見間違えて、反対側の駒飼の池に降りる沢道を下ってしまったのだ。周りの山の気配が少しおかしいとは想ったが、早く追付きたい一心で下山のスピードを上げた。30分くらい経った時にコースが違う事に気付いたが、でもこの下で千畳敷カールに合流すると勝手に思い込んでいた。たまたま下から登って来た3人組のパーティーに尋ねて、完全にコースを外れていることに気付く。 先に降りた二人に携帯で連絡しようとするも、山中での携帯の繋がりが悪く何度も連絡したがうまく繋がらない。やっと繋がってもすぐ切れる。最終のロープウェーの運行時間は午後5時。まだ1時間半あると思っていたが。30分下りた登山道は登り返すのに1時間はかかる。今まで順調だった体力が落ちてきて、足の疲労と膝の痛みが激しくなってきた。コースを間違ったという後悔のストレスと、心の不安が疲労度を倍増させる。昨日病院で指摘された血圧が170前後とかなり高い結果だったことも頭をよぎった。何とか稜線まで戻ると時間は既に4時30分を超えていた。普段ならともかくこの状態では30分ではロープウェー駅までは戻り切れない。 もは何をしても時間迄に戻れない事態に直面し、やっと繋がった携帯で、自分は乗り遅れても山頂駅のホテルに泊まるから、二人は運行時間内にロープウェーで麓に下り、最悪 麓で宿をとるなり、何らかの対策を立てて欲しいと、繋がり辛い携帯で最低限の行動依頼を促した。 乗越浄土から八丁坂を下るのは難儀だった。普段なら30分で下りられる坂に1時間以上も要した。 下り始めると直ぐに「カールの麓からロープウェーの最終時刻は5時です」とアナウンスが聞こえてきた。これで麓のバスターミナル駐車場までの下山は完全にアウト。 5時半すぎると辺りは少しずつ色を失ってきた。十五夜の真ん丸お月さんが南ア甲斐駒ヶ岳の山上に大きな赤オレンジ色で照り映えていた。しかし優雅な風情を楽しむゆとりはまったくなく、必死に歯を食いしばり一歩一歩登山道を下りて行った。途中何度も携帯をいじるが繋がらず、山頂駅にも連絡することが出来なかった。辺りはだいぶ暗くなっていたが月明りで足元は確かだった。 6時前にやっとロープウェー山頂駅に到着。 既に駅はロックされていたが、ホテルの売店にやっと辿り着き、フロントに向かった。
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