さて、 その日は珍しく夕方近くまで校門の近くにいた。 おそらく、 同級生とくだらない話をしていたからに違いない。
すると、校門の方へ歩いてくる女の子がいた。
ここは男子校なので、違和感があったのだが、まもなく了解した。
この学校には定時制もあったのだ。 普段、定時制を全く意識していない私には、 定時制には女子も登校してくるという当然の事実に それまで思い至っていなかった。
ところで 男子校の生徒には女の子の登校シーンなどというのは とても珍しいので、失礼ながらも眺めていたのだが、
突如として、頭の中を稲妻が走ったかの如く、直感が働いた。
俺は彼女と結婚する。
その言葉は、自分の言葉のようであって自分の発した言葉では決してない。 突然、何者かに告げられたに違いないのだ。
しかし、そのときの僕は冷静だった。
僕たちは、まだ未熟だ。お互いに成長してから再び会うことにしよう。
そのように頭の中で返答したのだった。
しかし、 僕の若いときの判断というのは大体、 根拠の薄い自分への自信からだから始末が悪い。
このとき、走り寄ってでも付き合おうと言えていたら、 どれだけ人生の歩みが違ってきていただろうか、と思うと 老いて我が身を振り返り本当に嘆かわしいかぎりだ。
ところで、タイトルは宿命の人。 宿命の人はあっさりと目の前を通りすぎていって、 お互いが再び会うことはなかった、などということはない。
その後も、何度も再接近するようになる。
関係はこのあとも続くのである。 そしてまた、ずっと続くのであろう。
どうも生まれる前からの約束らしい。 だから、二人の関係はわかる人にはわかるはず。
僕にはわかる。 自分のことについては、霊感は冴えているのだ。
本投稿は以上。 ではまた。 |