狸の友達の子が、まだ赤ちゃんだった時のことです。 友達が 「車に乗る時、チャイルドシートに乗せるとこの子、物凄い声で泣くのよ。だから、私が抱いているの」 と言いました。 御主人が運転で、彼女が助手席です。 その時は、狸はふーんと言いながらも、内心では 「泣こうがわめこうが、赤ちゃんの時からチャイルドシートに慣れさせなきゃ」 と思いました。
その数ヶ月後、子猫のミラを我が家に引き取ることになり、車に乗せました。 ミラを入れたキャリーバッグを後部座席に乗せ、シートベルトで固定しました。 熊が運転、狸が助手席です。 子猫だったミラは、この世の終わりを見たかのような断末魔の鳴き声をあげました。 この時、熊も狸も、赤ちゃんをチャイルドシートに乗せずに、母親が抱く人の気持ちを味わいました。 ミラも、狸が抱く時だけ、落ち着いたのです。 熊と狸は思わず顔を見合せて 「自分で経験するとわかるねえ」 という言葉が出ました。
でも、一方ですぐに、別の友人が言っていた 「チャイルドシートに乗せて泣くのは可哀想だけど、万が一、事故に遭って怪我をするのはもっと可哀想だから、チャイルドシートに乗せるの」 という言葉を思い出しました。
結局、車内ではミラはキャリーバッグから出しませんでした。 熊は運転に、狸はミラをなだめることに、それぞれ分業して専念しました。 |