狸の実家の法要が6月にあります。 そして、香典返しの準備を引き受けた狸は、お菓子は田月堂の水羊羹(缶入り)に決めました。 結婚前に熊が狸の実家に挨拶に来た時にお土産に持ってきてくれたのが田月堂の水羊羹です。 甘さ控えめで、狸の両親は勿論のこと、普段は酒飲みで甘いものなど食べない弟も 「この水羊羹はうまいな!!」 と言って食べていました。 そこで、缶詰めなら長期保存が可能だし、あの水羊羹ならいうことない!!ということで、狸の母の依頼もあり、田月堂の水羊羹にしようと決めたのです。
ところがです。 先日、お店に行ったところ、まだ五月で水羊羹は作っていないという話でした。 6月の法事に使いたいのだけれど・・・ということを伝えて、その時はそのまま帰りました。 しかし、もし、6月に入っても水羊羹を作らなかったとしたらどうしよう?と狸は考えました。 ちなみに、父の一周忌法要のお菓子はボンシェールのスティックケーキでした。 今度は違うものが良いしなあ・・・と考えたものの、田月堂の缶入り水羊羹以外にスティックケーキに匹敵するものが思い浮かびません。 いや、賞味期限さえ考えなければいくらでも美味しいお菓子はあるのです。 しかし、贈答品で、個別包装をしてあって、ある程度保存が利くものというと中々ありません。 法事に参加する人は、もう、子供たちが独立して夫婦二人暮らしになっている方ばかりです。 少しずつ食べたり、人に分けたりができるものが良いと考えました。
そんな時に、ふと、狸は数年前に友人がお土産に持ってきてくれたゼリーの詰め合わせを思い出しました。 フルーツゼリーで、甘さ控えめの、果物の味がする美味しいゼリーでした。 早速その友人に問い合わせると、文明堂のゼリーらしきことがわかりました。 熊に 「田月堂の水羊羹が駄目だったら、文明堂のゼリーにしようかしらね?」 と狸は相談しました。 熊は、 「ああ」 と生返事をしました。 そして、今日、車で出掛けた折、熊は 「田月堂に寄って水羊羹のことを相談しよう!!」 と言いました。 お店の窓には「水羊羹の」の張り紙がありましたが、店頭には“缶詰めの”水羊羹はまだ出ていませんでした。 狸が “あの〜、缶詰めの水羊羹、まだ出ていませんよねえ?” と言うより先に、熊は力強い声で 「今度、6月5日に法事があるんです!で、こちらの缶詰めの水羊羹を使いたいんですが、予約できますかね!!」 と言いました。 お店のベテラン女性店員さん(女将さんでしょうか)は、一瞬考えた後、奥の職人さんに確認して 「わかりました。お作りしますよ」 と返事してくれました。 そして、熊がシャキシャキと 「じゃ!予約をお願いします!!」 と言い、狸が具体的な個数その他を伝えました。
帰りの車の中で、熊は 「良かった〜!!田月堂の水羊羹が駄目だったらどうしようかと思ったよ〜(^◇^)やっぱり頼んでみるもんだねえ」 と実にホッとした表情で言いました。 そういえば、熊はゼリーが苦手だったのです!! ゼリーを食べたくない一心が和菓子屋さんに融通を利かせてしまった今日の出来事でした(別にゼリーが嫌いだったら、私たちの分を頼まなければ良いのですけどねえ〜(^_^;)でも、やっぱり水羊羹は食べたかった熊&狸でした) |