先日、狸の友人から二人目出産報告のメールが入りました。 彼女とは小学校の時に同じクラスになったのを機に、ずっと付き合いが続いています。 結婚したのは狸の方が早かったのですが、彼女の方は結婚してすぐに子供を授かりました。 最初こそ育児は大変だったようですが、お母さんを始め、旦那様のご両親など応援には事欠きません。 その上、子供自身もあっという間に大きくなり、幼稚園に行くようになり、手がかからなくなります。 そうすると今度は 「二人目が欲しい」 と言うようになり、念願かなって二人目を妊娠そして無事に出産しました。
狸の夢は子供を産んで、子育てに追われることでした。 でも、それが叶わず、今に至っています。 結婚生活の中で一度は妊娠したのですが、流産という形であっけなく子供はお腹を去りました。 以後、結婚生活の中で何度も何度も熊に八つ当たりをしてしまったことがあります。 あの時は、子供さえ産めば自分の人生が万事丸く収まると思っていました。 でも、そんな時に、別の友人にですが子供ができ、 「妊婦は大事にしてもらえるから嬉しい」 「赤ちゃんがいると言い訳に使えるから便利」 などと言っていているうちに、追い出されるようにして離婚する姿を見ました。 子供は御主人が引き取りました。
一カ月ほど前、狸の母が電話でこう言いました。 「あ〜あ、つまらないわねえ。子供が四人もいれば、老後は孫の世話で大忙しだと思っていたのに、息子たちは結婚しないし、一人娘は結婚しても子供ができないし、誰も孫を連れてこないんだから!!」 でも孫は祖父母の暇つぶしのためにいるわけではありません。
数年前のある事件をふと思い出しました。 お姑さんが、同居している息子のお嫁さんの頭を殴打して殺人未遂か何かで逮捕された事件です。 お嫁さんがテレビを見て笑っているのを、自分のことを笑っていると勘違いしたとか供述したような気がします。 結局、情状酌量があり、そのお姑さんは息子夫婦の家に帰されました。 でも、当の本人は 「あんな事件を起こして、息子夫婦が私を迎えてくれるだろうか」 と不安がっていました。 記事によると、この事件から見えてくるのは「孤独」とのことでした。 かつては、孫が小さい時には子守役として期待され、また、実際に孫に慕われるお祖母ちゃんだったそうです。 でも、孫はどんどん大きくなり、お祖母さんの手を離れます。 また、息子夫婦とその子供たちとの家族団らんに入れないということがだんだん出てきたようです。
狸の母の友人にも、息子家族と暮らしている人がいます。 小さい時は目に入れても痛くなかった孫が、小学校に上がるぐらいになると、何かと言うと母親の方にばかり着くとぼやいていました。 世話をする孫がいないのも寂しいかも知れませんが、一度は自分に懐いていた孫が離れるのも寂しいものなのかも知れません。
子供を育てることだけが自分の使命だと信じて生きてきた人が、その子供が自分から離れた時、何をしたら良いのかわからない、ということは意外と身近にあります。 子供が成人しなくても、それこそ三歳ぐらいになると 「赤ちゃんではなくなってきた」 ということで焦りを感じるお母さんをたまに見かけます。 そのタイミングで下の子を妊娠すれば良いのですが、それがうまくいかないと本当に焦るようです。 何を隠そう、狸の母自身が、先日電話で昔を振り返り 「子供が立て続けに産まれて、これで当分は子育てだけしていれば良いんだと思ってホッとした」 と本音を洩らしました。 その後、子供が年齢だけは成人に達した後に、孫ができれば良かったのでしょう。 でも、狸の兄弟は全員独身であり、唯一結婚した狸には子供ができません。 その間に父が他界し、ますます暇になった母は 「孫の世話で忙しい老後を夢見ていたのに!!」 とぼやいています。 狸が 「何か、打ち込むものをみつけたら?」 と言うと 「この年になって何に打ち込めって言うのよ!!」 と怒鳴られました。 孫の子守以外にしたいことはなさそうです。 狸自身も 「子育て以外にしたいことは何もない」 と思っていた時期があるので、気持ちはわかります。 でも、やっぱり、なんです。 愛する人以外に生き甲斐をみつけることは、この世を去るその瞬間まで何歳になっても大事であるように思います。 |