文京区の護国寺茶寮において、第30回となる柳営茶会へ長男と共にお伺いいたしました。
東京は明け方まで雨がパラついていた模様ですが、梅雨入りが発表されていたとは
露知らず。会場に着いたころには曇り空でスーツ着用には過ごしやすいなんて
思っておりました。
メトロを出てすぐの護国寺山門
これはこれは。山門を潜ると実写版眠り猫がお出迎え
新書院で受付を済ませますと早速、柳営会の方が旧平戸藩松浦家伝来の
鎮信流の濃茶席へご案内くださいました。
不昧軒
席入りの時間まで待合から不昧軒の庭園を拝見し寛いでいます
松浦章ご宗家には、はじめてお会いしましたがユニークな方で。私などは、なかなか
ユーモアなことが言える性分ではないので、常にウケを狙って周りを楽しませることに
長けている長男などは、一見ふざけているようで、実は亭主役や師範役に向いているの
かもしれませんね。
濃厚な濃茶をいただき、大名松浦家の武家茶道を堪能。著名な静山公の書も
拝見することができました。
続いては、本日の柳営茶会にお招きくださいました旧磐城平藩安藤家伝来の
御家流の薄茶席へご案内いただきました。
月窓軒
御家流宗家の安藤綾信様とは去年12月、高崎大信寺の徳川忠長卿追福茶会で
お会いして以来、こうして再びお招きいただいた次第です。
月窓軒の床には、安藤様がお強請りをしてコ川恒孝様に御作していただいた
花入れが飾られておりました。
銘「徳」
この日の御家流お席のテーマは「大奥」。江戸城大奥のきらびやかなイメージを
再現されたお席でしたので「さっきこの辺に居らした男性のお客さんからも『何だか
わからないけど楽しい!』と褒めていただきました」とご宗家からご挨拶があり、
皆様の笑いを誘っておりました。
そのテーマ通り、お道具も安藤家伝来の大奥や将軍家御台所ゆかりの品々で彩られ、
なるほど男女問わず「何だか楽しい」。私は正客でしたが天目台でいただいた茶碗は
何と綱吉公や吉宗公もお使いになったという萩焼の茶碗で驚愕いたしました。
まさに一期一会の茶碗、このご配意には大変栄誉な事と思いました。
金森宗和公作茶杓の由来をご説明くださるご宗家
忠霊堂で点心をはさみ、最後にご案内いただいたのは小堀遠州流の濃茶席です。
「小堀遠州」お茶を知らない人でも一度は聞いた事があるのではないでしょうか。
コ川ご宗家来席のため急遽生けたという二葉葵
柳営茶会に相応しい将軍家ゆかりの牡丹之間とお道具の数々
質素な侘びさびとはまた趣が異なる、きれいさびを堪能。
小堀宗圓16代家元と
今回、ご案内をくださった(柳営会)丸根松平家当主の信次様
茶人でもある氏とは書籍「子孫たちの証言」で共に掲載された間柄でもあります。
そんな話もちらほらと弾みました。お世話になりました。
ご厚意いただいた安藤様におかれましては御礼の申し上げようもありません。
ご深慮いただきました柳営会の皆様には色々とお計らいいただき、衷心より
御礼申し上げます。
武家茶道3席の正客としてご配意いただき、おかげをもちまして合縁奇縁ある
有意義な仲夏の一日を過ごすことが叶いました。