栃木の語り部  栃木語り部の会

昔むかしの話を語る、栃木の語り部。 語り伝えたい話があります。昔ばなし、伝説、言い伝え・・・学校への語りの出前は60校を超えました。児童館、育成会、公民館、作業所、グループホーム、イベントなど声が掛かればどこへでも語りに出かけています。語りながら話も集めています。これからも出会いを求て語り続けていきます・・・
 
2007/05/13 22:18:51|栃木市に伝わる話
男女別学の頃  (栃一小と栃二小)
 明治生まれの祖父から子どもの頃聞いた話。  
 
 昔、栃木第一小学校は、男の子の学校で栃木第二小学校は女の学校だった。  
 
 今、市役所の建っている所は、昔は第二小学校の庭だった。
 
 
 昼休みに、県庁堀をはさんで、一小の男の子と二小の女の子が石投げっこをして対決した(遊んだ?)という。  
 
 今は昔の話。







2007/05/13 22:07:01|栃木市に伝わる話
うなぎを食べない家 (栃木市の太平山信仰)

 最近まで、太平山を信仰するある家では、家族にうなぎを食べることを禁じていた。

 ある日、この家の子が兄弟揃って東京の親戚に遊びに行ったところ、うなぎが出された。兄の方は親の言いつけを守って、食べなかったが、弟は生まれて初めて食べるうなぎの味に感動しつつ、ぺろりとたいらげてしまった。

 さて、次の日、弟は人混みではぐれて姿を消した。その日の晩には交番に保護されて戻ってきた。普通に考えれば、単なる迷子だが、この兄の方は、うなぎを食べた罰で弟は神隠しにあったと思ったという。 

 

今、八十才間近のこの兄は、どんなにすすめられても、いまだにうなぎを口にしていないという。

 

 太平山の御神体がうなぎに乗って来たといういわれがあることから、信仰する人たちの間にこういった風習があったらしい。今は昔のはなし。








2007/05/12 18:37:20|栃木市に伝わる話
和尚さんと小僧さん(ふうふう、ぱたぱた、あちちの類話)
 むかし、ある寺に、和尚さんと小僧さんがいました。
 
ある日、小僧さんが和尚さんの部屋へ行くと、和尚さんは火鉢で鮎を焼いていました。和尚さんは小僧さんに食べさせたくなっかたので、「これは、かみそりというものだぞ。」と言いました。
 
 ある日、和尚さんと小僧さんは、檀家に呼ばれて出かけました。和尚さんは馬に乗り、小僧さんは後から歩いて着いていきました。途中の川の中に鮎がたくさん泳いでいました。「和尚様、かみそりがたくさん泳いでいます。」と、小僧さんが言いました。和尚さんは、「むかしから、見たら見捨て、聞くものは聞き捨てと言うぞ。」と言いました。「はい。」と返事をして、小僧さんは和尚さんの後に着いて行きました。
 
 和尚さんはいねむりをはじめ、かぶっていた頭巾が落ちました。後で頭巾が無いことに気がついた和尚さんが、「小僧や、わしの頭巾を知らないか?」と聞きました。すると、小僧さんは、「頭巾が落ちるのを見ましたが、和尚様は先ほど、見たら見捨て、聞いたら聞き捨てと、おっしゃったので、見捨ててきました」と答えました。和尚さんは「落ちるものはチリでも拾えと言うぞ。すぐに戻って拾って来い。」と言いました。
 
 小僧さんが、頭巾を拾って戻って来たとき、道に馬糞が落ちていたので、それを拾って頭巾の中に入れて、「落ちるものは、チリでも拾え」と言って、和尚さんに差し出したということです。







2007/05/12 13:29:16|絵本
現代民話「まちんと」について
 
 絵本にもなっている、松谷みよこ再話の「まちんと」という話があります。 
 
 <ストーリー>広島に住むもうじき三つになる子が、昭和二十年八月六日の朝原子爆弾にあいました。たった一発の爆弾だったけど、町は一瞬のうちに燃え上がり崩れ落ちました。その子も苦しみながら寝かされて、トマトを口にいれてもらうのを待ちながら、まちんと、まちんと、と言いながら死んでいきました。その子は死んで鳥になりました。そうして今も、まちんと、まちんと、となきながら飛んでいるのだそうです。  
 
 
 この話は、原爆が落ちた後の広島で語り継がれるようになった話を絵本にしたものです。  
 
 少し前に、テレビで、アフガニスタンの瓦礫の中に木で作った小さな十字架がいくつも立っているのを見ました。そこにひざまづいて子どもを亡くした父親が祈っていました。「私の子どもたちは、みんな鳥になって飛んでいます。」そう言っていました。  死んだ子どもが鳥になる・・・・・洋の東西を問わず信じられているのです。







2007/05/11 14:58:52|栃木市に伝わる話
和尚さん、おかわり  (ふうふう、ぱたぱた、あちちの類話)
 むかし、ある寺に和尚さんと小僧さんがいました。ある日、近所の人が、つきたてのおいしそうなぼたもちを届けてくれました。 
 早く食べたくてがまんできなくなった小坊主は、こっそりぼたもちを皿によそると、和尚さんにかくれて食べようと、便所に行きました。小坊主が便所の戸を開けると、なんと、中で和尚さんがぼたもちを食べているではありませんか。 それを見た小坊主は、思わず、「和尚さん、おかわり!」と、ぼたもちの皿を和尚さんに差し出したということです。
 
 
 これは、短いながらも、本当に笑える話で気にいっています。小坊主の機転に拍手!! でも、衛生上の問題から学校では一度も語っていません。これを読んだ方、人と場所を選んで是非語ってみてください。