栃木の語り部  栃木語り部の会

昔むかしの話を語る、栃木の語り部。 語り伝えたい話があります。昔ばなし、伝説、言い伝え・・・学校への語りの出前は60校を超えました。児童館、育成会、公民館、作業所、グループホーム、イベントなど声が掛かればどこへでも語りに出かけています。語りながら話も集めています。これからも出会いを求て語り続けていきます・・・
 
2007/05/30 15:19:00|栃木市に伝わる話
栃木市の巴波川に伝わる昔話  なまずの恩返し
 
      栃木を流れる巴波川に伝わる昔ばなし
 
  むかし、ある年のこと、日照り続きで、巴波川が干上がってしまった。ある男が、野良仕事の帰り、土手を歩いていると、泥の中でいっぴきのなまずが、苦しそうに動いているのを見つけた。男は、かわいそうに思って、なまずをすくいあげると、持っていた手ぬぐいに包んで、川下の水がよどんだ淵まで連れて行って、放してやった。 次の年の夏のこと、この男の子どもが、巴波川で水浴びをしていて、深みにはまっておぼれてしまった。流れが速く、子どもはどんどん流されていく。その時、不思議なことに、その子の体が、水の表にプッカリと浮かび上がってきた。見ていた人たちは驚いた。その子のまわりに、何百、何千というなまずが集まってきて、陸のようになっているではないか。 助けてもらったなまずが、仲間を連れて恩返し来たのだった。
 
 
 これは、わたしが祖父から聞いた話です。「栃木のむかし話」の本には、一匹の大なまずが助けたという話になっています。一般的にはこちらの方が伝承されているらしく、幸来橋のたもとに、この話の像が建っています。蔵の街観光館では、なまずの土鈴を売っています。







2007/05/30 13:11:37|昔ばなし
昔話の中の不登校・引きこもり 三年寝太郎
 
 眠ってばかりの三年寝太郎は、ある日むっくりと起き上がると、動き始め、他にない知恵を出して村を豊にします。(山口県に伝わる話)その他、長者どんの娘と結婚するという筋の話もあります。 
 
 不登校や引きこもりもこの三年寝太郎と同じだと昔話の研究者のひとりはその著書に書いています。 
 
 様々な迷いや、心のエネルギーの低下で、はた目から見ると、まるで冬眠のように活動を停止する若者がいます。けれども、ある時、充電が完了したかのように活動を開始するのです。 
 
 自転車で栃木から関西まで一人旅をした青年、自動車整備のアルバイトで遅くまで汗を流す青年、中学から高校にかけて不登校やひきこもりを経験したとは思えないほどパワフルな毎日を送る人たちが私のまわりにもたくさんいます。
 
 まわりの人は、休眠状態が未来永劫続くのではないかと不安になるのが普通です。けれども、この時期が、長い人生の一時期で振り返れば必要な時間だったというメッセージを三年寝太郎は今も私たちに伝えています。







2007/05/16 19:02:14|栃木県内に伝わる話
うなぎを食べない村 3 (野木町に伝わる話)

 

  むかし、野木の星の宮神社にある池には、たくさんのうなぎがいた。 

  ある日、この神社の近くの家の男の子が、この池でさかなつりをしていて、自分の背丈ほどもある大うなぎをつかまえた。

 この子は、大喜びでこのうなぎを家に持って帰ると、焼いて食べてしまった。

 すると、次の日、この子の目は真っ赤にはれあがってり、終いには見えなくなってしまった。 

  あのうなぎは、星の宮神社の神様のお使いだったという話がいつとはなく村人の間に広まった。

  そして、村人たちは、うなぎを食べると神様のたたりがあると信じるようになった。

 それからというもの、この村のものは、うなぎを食べなくなったという。

            (栃木の伝説 日本標準 より)

                その土地その土地で、伝承は違っているのですね・・・








2007/05/16 13:16:42|栃木県内に伝わる話
うなぎを食べない家 その2 (野木町)

 

 昨日載せたうなぎを食べない家について今日新たな話を聞きいた。

 野木町のある家ではうなぎを食べない。その家の分家の人たちも食べない。まわりの家は、この風習を持たないので、村全体のならわしではない。 

  (野木町在住の田村さんからの聞き取り)  

 大平町の明神様を篤く信仰している家では、うなぎばかりでなはなく、なまずも食べない。ぬるぬるした魚を食べない。    (大平町在住のKさんからの聞き取り)  

 

 その他、実家の本家では昭和に入ってからも肉を食べなかったという話も聞けた。今風に言えばベジタリアンだが、それぞれの家で過去にいわれがある。   








2007/05/14 19:34:49|栃木市に伝わる話
コノシロの伝説  (栃木市惣社に伝わる話)
 
 むかし、惣社の室の八島に五万長者を呼ばれる金持ちが住んでいた。 
 
この長者には、一人娘がおり、常陸(今の茨城県)の国守に輿入れすることが決まっていた。
 
 ところが、この娘は、長者が世話をしていた有馬皇子(ありまおうじ)と離れられない仲になっていた。 
 
 このことを知った長者は、娘のことを思って、、常陸の国守との結婚をこわすことにした。。 そこで、コノシロという魚をたくさんひつぎに入れて焼き、娘の死体を焼いたことにしたという。            (栃木の伝説 日本標準 より)  
 
 
 
   権力者との結婚は、逃れられないものだったのですね。 長者さんのはからいで、娘さんは、有馬皇子と幸せにくらしたのでしょう。めでたし、めでたし。