「昨日は日帰りで越後駒に登ってきました」「体力ありますね」 今朝の草むしりの時、こう切り出すと自然な会話が成り立つが、実際の状況はとても人前でお話できるような状態ではない。今回は恥を忍んで中高年の山登りの実態を(但しこれは一般論ではなく個人の問題)暴露しようと思います。 今回は昨年の越後駒のリベンジと20日の谷川岳のリベンジを兼ね、直前にブログに行動予定を載せて、何が何でも遣るんだ、と縛り付けました。突然の思いつきの計画の割には、全てがとても順調に進み、思惑通りでした。午前0時に栃木を発ち3時に越後駒登山口の枝折峠に到着し、車の中で約1時間半仮眠し4時半に出発。朝早いので空気も済み、気温も涼しくゆっくりしたペースで歩を進め、去年3時間を要した途中の小倉山まで2時間15分で到着。 去年はここでリタイアしたのだが、ここからは未知の領域。ここまでの道中も上り下りの連続だったが、ここからも暫くその延長のような山道が続いた。途中で森林限界を超え、振り向くと歩いてきた山々の稜線がくっきり。途中で出遭った長崎から単身でやってきた年配の山ガールと暫くご一緒するも、大雪渓が見える直前でペースダウン。足が攣って足指がバネ指のような痙攣を催す。用意した朝食用のパンと水分補給をたっぷり取り、歩みだした時は彼女はだいぶ先に行ってしまっていた。暫く歩くと又同じ様な症状がでて、岩場に腰を下ろし攣った足を揉み解す。ザックから湿布薬を取り出し幹部に貼る。気分的にかなり楽になったような気がして、再度歩き出すと他の部位の筋肉が攣り出す。これでは万事休す・・・とリュックを投げ出し岩の上に大の字になって空を見上げた。今日もまたこれでリタイアかと最悪の筋書きが脳裏を過ぎる。さっきまで順調すぎるほど順調にいっていたのに・・・ でもこんな状態でまだ上を目指せば最悪自力で下山出来なくなることも想定され、断腸の思いで断念の決断をしたが、3,40m上に風力計が見え急斜面の岩場を登るだけ登ろうと超スローの岩登りにチャレンジ。足が思うに任せず、ふらふらながら、風力計に近づくに従って人の声が耳をかすめた。なんとラッキーな事に断念しようとした場所は駒の小屋の直下だったのだ。声の主は小屋の番人で登山客との会話が耳に飛び込んだのだった。ここまで来ての断念を、思い断って救われた。時に9時45分。小屋の前の冷たい雪解け水が咽を潤し一気に3杯もがぶ飲み。そして意外な事に途中だいぶ休んだので登頂時間は問題外と思っていたが、なんと登山口から5時間15分。思ったほど遅れてはいなかった。 15分だけ小屋の前で休み、折角なのでと山頂を目指す。山頂到着が10時16分。 途中あんなに苦労した事をすっかり忘れ、普段の体調ならば下りは4時間あれば充分だと早合点。ここで昼食を取り、お隣の茨城県結城から見えたご夫婦と世間話が弾み、下山は12時10分前。500mlのペットボトルに冷たい水を詰めたので、持ってきた2Lの水はザックを軽くしようと抜いてしまったのが大いなる判断ミスに繋がろうとは・・・ それでも登りに2時間45分を要した小屋と小倉山までの区間は1時間半で下れた。だがこれも見通しを甘くした大きな原因の一つとなる。この分なら小倉山と登山口までは2時間15分以内に下れるだろうし、登山の疲れが溜まっていても2時間半あればと踏んだのが甘かった。 充分に駒の小屋で休んだので、下山当初は極めて順調だったが、途中から右膝に違和感を覚えて着地の時に痛みが走った。男鹿岳で靭帯を伸ばした時の後遺症からか、時々同じ様な症状が出る時があるが、今まではどうにか騙し通せた。でも今回は午前中の失態もあり慎重にとザックからサポーターを取り出す。当時数万円を投じとちの木病院で造って貰ったサポーターをその時以降一度も使わないままにザックの内側に差し込んでいた。流石にそのサポーターのお陰で膝の負担が減り痛みは全く無くなった。これで一安心と思った間も無く、又足が攣りだした。水分不足・・・下りは甘く見ていたのだが、想像以上にきつく、暑さの所為もあり思いがけない大汗を書いた。下山当初はリュックが軽くなり楽だったが2Lの水を廃棄したのが裏目に出た。 いつの間にか両足が痛み、着地の負担がきつく歩幅を狭めざるを得なくなっていた。水の心配も負担になる。水分を控えれば足の痙攣が出るし、かといって7kmの上り下りは果てしなく続く。上手く行けば15:30、遅くとも15:50に駐車場にたどり着くと思っていたので栃木には18:30前に帰れると思っていたのだが、だんだん不安が増してきた。高度が低くなるに従って気温は上がり、陽射しは絶え間なく背後から襲うかかる。首に巻いたタオルはちょっと絞っただけでも汗水が滴り落ちる。背中に通したタオルから半ズボンに流れ足に纏わりつく。いつまで経っても4.3kmの上り下りは続く。いつの間にか体が動かなくなったら如何しようという思考回路が芽生えた。最悪救助減りを要請!? でも今日は入山カードを記載してこなかったし、まだ体は何とか動くのだから、一歩筒でも前に進もう! マラソンの最後のランナーがゴールに飛び込む瞬間を思い浮かべ、余力があるのに諦めるのは筋違いと己を戒めた。でも、それでも、ゴールは遠い。 こんな思いをして今日山に登ったのは何故だ?年齢的にも体力的にももう山は無理・・・ 本当に山が好きなのだろうか・・・ 山に登る目的は・・・ ここにきてもう一つの不安が募ってきた。駐車場までたどり着けるかどうか・・・だ。 目の前の坂や木道の続く山道を歩き続ける自身がだんだん失せてきた。水もあと数回の補給で底を尽きそう。一歩一歩の積み重ねで辿り着く筈の路なのに永久に辿り着けない道に思えてくる。背後から鈴の音が響き、下山で始めて登山者に追い抜かれた。水の補給を頼めばいいのにそれが切り出せず、追い抜かれるままに見送った。
こんな無様な下山だったが、それでも何とか後1.2kmの地点まで辿り着く。通常の歩幅にすれば2,000歩あまりで辿り着く筈なのに、今の足の状態ではその倍は要するだろう。でもここまできたら何とか辿り着けそう。そしてやっとの思いで駐車場に着いたのは16:25分。 思い足と体を引きずって、全身汗みどろの着物をパンツまでそっくり着替えるのが大変だった。10分後に疲れた体に鞭打って車を走り出させた。山道のハンドル操作も覚束なかったが何とか麓のコンビニに着き、飲料を補給。咽を潤した後、予定の時間より1時間以上遅れるかもしれないが必ず帰ると家に電話を入れた。 寝不足で朦朧とした頭と疲れで不用意に痙攣を起こす足の不安で、今夜は道の駅かサービスエリアで仮眠して帰ろうかとも思ったが、母の声を聴くと、今から帰るよと即返し、燃費を落さないように注意しながら高速道路を飛ばす。結局平均燃費24.4km/L、220kmを2時間50分で走り切る。 結果はオーライだったが、極めて無謀で不安な山行きだった事の無様な報告でした。
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