結果から言うと、今回のA社と病太郎さんの件は、A社が病太郎さんに「1ヶ月分の給与+α」の●十万円を支払う事で決着がつきました。
無断欠勤をして会社に迷惑をかけたのに、なぜ会社がそんなに支払わなくてはならないのか!と思うかもしれません。
しかし、会社というのは組織であり、そこには労働基準法や就業規則などのルールが存在します。特に労働基準法は「労働者保護」の意味合いがとても強い法律です。
今回の事件のポイントは、病太郎さんは「退職の意思表示をしていない」ということです。確かに無断欠勤はしていましたが、本人が辞めると言っていないのにもかかわらず、社会保険や雇用保険の資格喪失手続きをして退職扱いしたということは「解雇」したとみなされても仕方ありません。
そして、解雇するには30日前に予告するか、解雇予告手当(およそ1ヶ月分の給与額)を支払わなければいけないと労働基準法で決まっています。これはつまり、突然仕事を失ったらその人は生活していけないから、次の仕事が見つかるまで1ヶ月分くらいは保障しなさいよ、ということです。また、解雇するには相当の理由がなければ無効となってしまいます。今回の件で裁判になったとしたらA社側が不利でしょう。
一般的に考えれば1ヶ月も無断欠勤をしていたら、もう辞めたと思うのが普通ですが・・・
昔に比べて、働く側の一般常識やモラルが低下してきているのは確かに感じます。
ちなみに今回の事件は、就業規則をきちんと作成し、メンテナンスをしていれば防げたかもしれません。
これを機会に就業規則を見直してみてはいかがですか?