民法が近々改正されます。 遺言執行者の権利義務が少しだけ明確になりました。 遺言執行者は、「遺言の内容を実現するために相続人を代理する者」です。 被相続人(=亡くなった人)を代理できません。 死者を代理できないのは当たり前です。
遺言の実現を目的の範囲にするならば、「なんでも」できるのか? という問題があります。 ここで、「なんでも」に入っていることで、 議論すべきは、各種業法で規制されている以下の業務です。
例えば、 金融機関の口座の名義変更(行政書士ができる場合がある) 車の名義変更(行政書士業務) 不動産の名義変更(司法書士業務) 相続税の申告(税理士業務) 年金の手続き代行(社会保険労務士業務)
私が考えるに、少なくとも2つの解釈が成り立つと思われます。
1.各種業法の規定に引っかかり、実は、ほとんど何もできない。 2.目的の範囲内(=遺言の内容の実現)で何でもできる。
1の解釈では、遺言執行者を規定した意義がなくなり不当です。 2の解釈は民法の文理からして妥当であり、有力だと思われます。
一件落着、と話はここで終わりません。
2の解釈を元に、少し制限を加えるのがよりよい判断だと思います。
一般に、責任の程度に応じて自由が与えられなければならない。 一般に、責任を果たすには、責任を果たせるだけの能力がなければならない。 一般に、与えられた責任は能力の限界を超えてはならない。 一般に、責任に対応する能力はあらかじめ担保されていなければならない。
以上が、民法の責任に関する「書かれざる前提」であると、私は考えます。
つまり、目的の範囲内で何でもしていい(=許可)のです。 一方で、能力の限界(=能力)までしか義務を履行できません。 さらに、能力を超えて負った責任は、担保されません。
以上のように考えると、 担保しない責任は負うべきではない、と言えそうです。 さらに、職業倫理から考えると、 担保しない責任から報酬を得るべきではない、とも言えそうです。
したがって、 例えば、行政書士が遺言執行者に就任した場合は、 行政書士の業務範囲で行動し、各種士業との連携を図ることで、 行政書士としては担保しない責任をいわば他の士業が分担することで、 結果として、遺言執行者の責任を全うする
とするのが妥当です。
1の解釈に極めて近い結論が出てしましました。 では、2の解釈はどうしたらよいのでしょうか?
以上の責任論からは、2の解釈はでてきません。 つまり、2の解釈は、無責任を前提としています。 責任を取らないことの合意があることを前提に通用する議論だと考えます。
以上で、整理がつきました。 もちろん、以上の解釈は私の個人的な試論でしかありませんので、 一般に通用するかどうかまでは分かりません。 その点は、ご容赦いただきたく思います。
では、今回の投稿は以上です。 お疲れさまでした。 |