花ど真ん中の里便り

栃木県は日本の花ど真ん中です。
 
2021/12/05 11:16:38|その他
直訴状 臣夙に
 臣夙ニ鉱毒ノ禍害ノ滔滔底止スル所ナキト
民人ノ痛苦其極ニ達セルトヲ見テ憂悶手足ヲ
措クニ処ナシ。
 
 夙ニ(ツト)ニ 前から、以前から。
 憂悶手足を惜くに処なし
ゆうもんしゅそくをおくにところなし。
不安でたまらない。思い悩み、もだえ。
 
嚮ニ選レテ衆議院議員ト為ルヤ第二期議会ノ時
初メテ状ヲ具シテ政府ニ質ス所アリ。
 
 嚮ニ、読みはキョウに、意味は先に、向う。
おそらく、正造は郷土の郷の意味で使っている。
 
爾後[毎期](正造は削除。秋水はそのまま)議会ニ
於テ大声疾呼其拯救ノ策ヲ求ムル茲ニ十年、而モ政府ノ
当局ハ常ニ言ヲ左右ニ托シテ之ガ適当ノ措置ヲ施ス
<コト>(加筆)ナシ。
 
 拯救ノ策
しょうきゅうのさく。支援策、援助の
手をさしのべる。
 







2021/12/04 11:12:53|その他
直訴状 加フルニ
直訴状、田中正造が[]は抹消。<>は加筆。
 
[而シテ鉱業ノ益々発達スルニ従ヒテ
其流毒益々多ク加フルニ]秋水起草文に
あったこの文章、正造が抹消、
 
 
<加フルニ>
比年山林ヲ濫伐シ<煙毒>(の文字を挿入)水源ヲ
赤土ト為セルガ故ニ河身<激>(を挿入)変シテ洪水
[頻ニ臻リ](正造が抹消))<又水量ノ高マルコト
数尺>(正造が加筆)

毒流四方ニ氾濫シ毒[屑]→<渣>ノ浸潤スルノ処
茨城栃木群馬埼玉四県及<其下流ノ>地数万町歩ニ
[及ビ]→<達シ>魚族[絶滅]→<斃死>シ
 
田園荒廃シ数十万ノ人民<ノ中チ>産ヲ失ヒ
<ルアリ営養ヲ失ヒルアリ、或ハ>業ニ離レ飢テ
[泣キ寒ニ叫ビ](正造これを抹消)<食ナク
病テ薬ナキアリ>に、

老幼ハ溝壑ニ転ジ壮者ハ去テ他国ニ流離セリ。
如此ニシテ二十年前ノ肥田沃土ハ今ヤ化シテ
黄茅白葦満目惨憺ノ荒野ト為レ[リ]を<ルアリ>に
訂正?加筆。
 
「頻ニ臻リ」
しきりにいたる。
 「溝壑」
こうがく。みぞや谷間。貧困などの
ために路傍で倒れ死ぬ場合などに用いる。
 「黄茅白葦」
こうぼうはくい。キイロチガヤと白いアシ。
萱屋根を葺く植物しか生えない荒れた土地。
 
 







2021/12/03 8:24:58|その他
直訴状 足尾銅山アリ
伏テ惟ルニ東京ノ北四十里ニシテ足尾銅山アリ。
 
田中正造加筆[]内。
[+近年鉱業上ノ器械洋式ノ発達スルニ従ヒテ
其流毒益々多ク]
 
其採鉱製銅ノ際ニ生ズル所ノ毒水ト毒屑ト
[久シク→之レヲ]澗谷ヲ埋メ渓流ニ注ギ、
渡良瀬河ニ奔下シテ沿岸其害ヲ被ラザルナシ。
 
 田中正造が命を掛けた直訴状、
幸徳秋水起草は、時代の背景、世相を
伝える漢字、熟語を鏤め、翁の加筆を
俟った最高のメッセージです。喝
 
 







2021/12/02 11:42:43|その他
直訴状 自家用字典
 田中正造直訴状、この春、自家用に
作りました。12月10日、直訴の日に
向けて、再掲です
 
謹奏
草莽ノ微臣田中正造誠恐誠惶頓首頓首謹テ奏ス。
 
「草莽の臣」
 民間にあって、国の大事を思い国のために
働く人。
 
伏テ惟ルニ臣田間ノ匹夫敢テ規ヲ踰エ法ヲ犯シテ
鳳駕ニ近前スル其罪実ニ万死ニ当レリ。
而モ甘ジテ之ヲ為ス所以ノモノハ洵ニ国家生民ノ
為ニ図リテ一片ノ耿耿竟ニ忍ブ能ハザルモノ
有レバナリ。
 
「一片の耿耿」
 光が明るく輝くさま。気にかかることがあって、
心が安らかでないさま。
 
伏テ望ムラクハ陛下深仁深慈臣ガ[狂→至]愚ヲ
憐レミテ少シク乙夜ノ覧ヲ垂レ給ハンコトヲ。
 
「乙夜ノ覧」」
 乙夜は午後十時くらいの時間。この場合、
忙しい公務から解放される時間になったら、
直訴状を読んでください。(続く)
 
 
 
 
 
 







2021/12/01 9:19:23|その他
鉱毒証言 小寒十二月の節渡良瀬
 小寒十二月の節に相成りますると〜
庭田孫八さんが、鉱毒被害実記で
渡良瀬川筋のうなぎ漁を懐かしく
伝えています。
 
 「うなぎ掻き」
土に差さったような状態で、
冬籠しているうなぎを、鉄を
曲げて作った(熊手の様なもの?)
漁具で掻く。
 
 「穴釣り」
寒中、厚き泥の中に空いている
うなぎの「吹穴」に蚯蚓を刺した
針を入れ〜釣る。
 
 是も鉱毒被害,廿歳位の青年、
此例を知りますまい。
 
「引用」庭田孫八著
「鉱毒地鳥獣虫魚被害実記」
(小寒)今の暦は1月5日です。