花ど真ん中の里便り

栃木県は日本の花ど真ん中です。
 
2021/12/08 9:02:01|その他
直訴状 加毒ノ鉱業ヲ止メ
 嗚呼四県ノ地亦
陛下ノ一家ニアラズヤ。
(以下、中略)
 
渡良瀬河ノ水源ヲ清ムル其一ナリ。
河身ヲ修築シテ其天然ノ旧ニ復スル
其二ナリ。
激甚ノ毒土ヲ除去スル其三ナリ。
沿岸無量ノ天産ヲ復活スル其四ナリ。
多数町村ノ[破壊](抹消)<頽廃>(加筆)
セルモノヲ恢復スル其五ナリ。
 
<加毒ノ鉱業ヲ止メ>(加筆)毒水毒屑ノ流出ヲ
根絶スル其六ナリ。
 
其の六、加毒ノ鉱業ヲ止メ
この一節が直訴状の魂、田中正造が
力強く吹き込んだ公害の原点です。喝
 
 
 
 
 







2021/12/07 9:09:03|その他
直訴状 無告の窮民
 伏テ惟ミルニ陛下不世出ノ資ヲ以テ列聖ノ
余烈ヲ紹ギ徳四海ニ溢レ威八紘ニ展ブ。
億兆昇平ヲ謳歌セザルナシ。
 
而モ輦轂ノ下ヲ距ル甚ダ遠カラズシテ数十万
無告ノ窮民空シク雨露ノ恩ヲ希フテ昊天ニ
号泣スルヲ見ル。嗚呼是レ聖代ノ汚点ニ非ズト
謂ハンヤ。
 
「輦轂の下」れんこくのもと。天子のお膝元。
「無告の窮民」救いを求めて訴えることが
できない人々のこと。
 
而シテ其責ヤ実ニ政府当局ノ怠慢曠職ニシテ
上ハ陛下ノ聡明ヲ壅蔽シ奉リ
下ハ家国民生ヲ以テ念ト為サヾルニ
[因](抹消)<在>ラズンバアラズ。
 
「曠職」こうしょく。「曠」は、むなしい、
 職務をおろそかにすること。
「壅蔽」ようへい。ふさぎおおうこと。
おおいかくすこと。
 
 
 
 
 







2021/12/06 8:12:18|その他
直訴状 兇徒
而シテ地方牧民ノ職ニ在ルモノ亦恬トシテ
省ミルナシ。甚シキハ即チ人民ノ窮苦ニ堪ヘズ
<シテ>(加筆)群起シテ其保護ヲ請願スルヤ
有司ハ警吏ヲ派シテ之ヲ圧抑シ誣テ兇徒ト称シテ
獄ニ投ズルニ至ル。
 
 地方牧民ノ職
地方長官。
 有司
役人、官吏。
「亦恬トシテ省ミルナシ」
また、テントシテかえりミルナシ。
恬=なんとも思わず平気でいる様子
「群起シテ」
ぐんきして。一斉に 立ち上がって
呼びかけ にこたえる。ここでは川俣事件。押し出し。
 「誣テ兇徒ト称シテ獄ニ投ズルニ至ル」
しいてきようとトしょうしてごくにとうずるにいたる。
誣=しいる。あざむく。そしる。誣告罪。(ぶこくざい)。 
 
「兇徒」
足尾鉱毒事件で被害農民の押し出し排除に
適用された「兇徒聚衆罪」(旧法)
田中正造が、鉱毒国会で使った兇徒、表記は四つ、
「嘯集」「聚衆」「嘯衆」そして「嘯聚」です。
 (里便り、ショウかシュウか、参考)
 
 







2021/12/05 11:16:38|その他
直訴状 臣夙に
 臣夙ニ鉱毒ノ禍害ノ滔滔底止スル所ナキト
民人ノ痛苦其極ニ達セルトヲ見テ憂悶手足ヲ
措クニ処ナシ。
 
 夙ニ(ツト)ニ 前から、以前から。
 憂悶手足を惜くに処なし
ゆうもんしゅそくをおくにところなし。
不安でたまらない。思い悩み、もだえ。
 
嚮ニ選レテ衆議院議員ト為ルヤ第二期議会ノ時
初メテ状ヲ具シテ政府ニ質ス所アリ。
 
 嚮ニ、読みはキョウに、意味は先に、向う。
おそらく、正造は郷土の郷の意味で使っている。
 
爾後[毎期](正造は削除。秋水はそのまま)議会ニ
於テ大声疾呼其拯救ノ策ヲ求ムル茲ニ十年、而モ政府ノ
当局ハ常ニ言ヲ左右ニ托シテ之ガ適当ノ措置ヲ施ス
<コト>(加筆)ナシ。
 
 拯救ノ策
しょうきゅうのさく。支援策、援助の
手をさしのべる。
 







2021/12/04 11:12:53|その他
直訴状 加フルニ
直訴状、田中正造が[]は抹消。<>は加筆。
 
[而シテ鉱業ノ益々発達スルニ従ヒテ
其流毒益々多ク加フルニ]秋水起草文に
あったこの文章、正造が抹消、
 
 
<加フルニ>
比年山林ヲ濫伐シ<煙毒>(の文字を挿入)水源ヲ
赤土ト為セルガ故ニ河身<激>(を挿入)変シテ洪水
[頻ニ臻リ](正造が抹消))<又水量ノ高マルコト
数尺>(正造が加筆)

毒流四方ニ氾濫シ毒[屑]→<渣>ノ浸潤スルノ処
茨城栃木群馬埼玉四県及<其下流ノ>地数万町歩ニ
[及ビ]→<達シ>魚族[絶滅]→<斃死>シ
 
田園荒廃シ数十万ノ人民<ノ中チ>産ヲ失ヒ
<ルアリ営養ヲ失ヒルアリ、或ハ>業ニ離レ飢テ
[泣キ寒ニ叫ビ](正造これを抹消)<食ナク
病テ薬ナキアリ>に、

老幼ハ溝壑ニ転ジ壮者ハ去テ他国ニ流離セリ。
如此ニシテ二十年前ノ肥田沃土ハ今ヤ化シテ
黄茅白葦満目惨憺ノ荒野ト為レ[リ]を<ルアリ>に
訂正?加筆。
 
「頻ニ臻リ」
しきりにいたる。
 「溝壑」
こうがく。みぞや谷間。貧困などの
ために路傍で倒れ死ぬ場合などに用いる。
 「黄茅白葦」
こうぼうはくい。キイロチガヤと白いアシ。
萱屋根を葺く植物しか生えない荒れた土地。