数日前に録画した映画『飢餓海峡』を見ました。 1988年に放映されたものです。 原作は水上勉です。 時代背景は終戦間もない時期から始まり、10年の年月が流れます。 殺人に関わっていると思われる男を萩原健一さん、その男に恩義を感じて庇い続けた娼婦を若村麻由美さん、そして追う刑事を仲代達矢さんが演じました。 内容はうまく説明できないのですが、松本清張の『砂の器』に通じるものを感じました。
最後の場面で、萩原健一さん演じる男が、仲代達矢さん演じる刑事に語る場面があります。 男は現在、食品会社を経営し、多額の寄付などもする大事業家となっております。 機械を撫でながら語りました。 「戦争中、統制違反だ!といって警官がやってきて、お客さんから預かった大事な食料の豆や小麦を全部持って行った。そして、夜になると、その警官の奥さんが豆や小麦をひいてくれと持ってくるんですよ」 この映画をテレビで初めて観たのは狸が十代の頃だったと思います。 その時は、言っていることの意味が良く分かりませんでした。 けれど、先日、このセリフを聞いた時、お客さんから預かった大事な食料という表現がとても重く感じられました。。 あの時代、闇物資を食べなかった裁判官は餓死しました。 そういう状況だったのです。
ドラマの中で、藤村志保さんが仲代達矢さんの妻を演じています。 決定的な手掛かりがやっと掴めて、自費で遠方まで捜査に行く夫に 「こういうこともあるだろうと思って私、へそくりを貯めていたんですよ」 と言います。 その次の場面で、そっと箪笥を開けて着物を持ち出していました。 映画の最初の方の場面で、食卓で 「お母さんの形見の着物をこのジャガイモに替えたんですよ」 と言った場面を思い出しました。 |