今回は利根川上流部でダム巡りです。
でもその前にダムによる水力発電についてちょっとだけ書きます。
ダムには「発電」という目的を含んでいる場合が多く、
ダムで取水した水を水路パイプ等を通じて下流に流し、
その水流の力で水車等を回し、水車の回転力で発電機を回し、
電力を生み出しています。
この「水を上から下に流す」という当たり前のような工程が
水力発電の基本となってます。
水は一回流せば下って行きます。
発電だけに限って言うなら、下流にいくつものダムを作れれば、
その都度発電ができる事になります。しかしダムを作れる場所は
限られますから、効率的に発電する必要が出てきます。
また、水量にも限りがありますから、発電のためだけに水を
流し続けられるとも限りません。
飲料水や農業・工業用水も不足するでしょう。
そこで考えられたのが「揚水式水力発電」です。
簡単に言えば、ダムは上下に2つあれば足ります。
電気を大量に必要とする時間帯に合わせて上のダムから
下のダムに水を流して電力を得るのは通常通りの工程です。
そして、電力をあまり必要としない夜間になると、
余った電気を使って水を下のダムから上のダムに汲み上げ、
再び上のダムをいっぱいにしておく・・・
電気を大量に必要とする時間帯に合わせて上のダムから
下のダムに水を流して電力を得て、夜間には余った電気で
下のダムから上のダムに水を汲み上げ・・・の繰り返しです。
夜間に電力を使って水を汲み上げるのは無駄なように感じてしまいますが、
ここで重要なのは「余った電気」と言うところです。
現在の科学では大量の電気を溜めておく事はできません。
家庭用蓄電池や電気自動車が普及しても暫くは無理でしょう。
火力発電所は一度火を消してしまうと、再び立ち上げるのに
時間を必要とします(原子力発電でも同じです)。
また、出力調整を昼夜のような細かいサイクルで行う事は、
設備にかかる負荷が大きくなってしまうため向いていないようです。
このため電力需要が減少する夜間でも出力をあまり落とさずに
運転(発電)を続ける事になり、ここで結果的に余った電気を
有効利用するのが、水力発電における「揚水式水力発電」なわけです。
大量の水ならば汲み上げて溜めておく事ができる・・・わけです。
水力発電は水を流せば直ちに発電を開始でき、水を止めれば
直ぐに発電を止められる・・・という利点を生かした方法です。
今回の奥利根エリアでは揚水式水力発電の上部ダムと下部ダムを
セットにして書いてみる事にします。
(巡った順とダムの記載順は異なります)