私はコインランドリーが大っ嫌いです。 というか、怖いんです。 街でたまたま見かけると、ゾっとします。 原因は小さい頃に見た、夢のせいなんですが・・・
静まり返った町。 天気の良い気持ちのいい日和だというのに、辺りに人影が無く、無音。 白みがかった視界。
一軒のコインランドリーが現れました。 前に立つと、自動ドアが開きます。 中に入りました。 ズラリと並ぶ、洗濯機と乾燥機。 私は近くの机の上にあった誰かの衣服を手に取りました。 「洗濯しなきゃ」と、何故かそう思いました。 そして、洗濯機のフタを開けて、 ドキン!と心臓を飛び跳ねさせたのです。
その中には髪の長い女の人が血まみれになって押し詰められていました。 あの筒状の空間に、背を丸め、手足を変に折り曲げながら、すっぽりと。 首は折れているようでした。 白いワンピースは所々赤く染まり、彼女の肌は青黒かった。 口は半開きのままで、明らかに死んでました。 一番恐かったのは、目。 どこか明後日の方向にある虚空をにらんでいます。 私は恐ろしさのあまり、身がすくんでしまって動けませんでした。 「あわわわわわ・・・開けちゃってごめんなさい!」 何とかそれだけを声(?)に出すと、 その瞬間、 急に女の人の目が クルっと白目を剥きました。 私は ほとんど反射的に「お元気で!」と叫び、バタン! ふたをしめました。
これは夢だ、これは夢だ、と自分に言い聞かせ、 早いとトコ ここを出なくちゃと思いました。 その途端に、 隣りの洗濯機の上に備え付けられた 乾燥機にスイッチが入る音。
ウィーン・・・
ビクッとして音のする方を見上げると、動き出した乾燥機の中は空っぽでした。 少しホッと息を抜いた瞬間です。 乾燥機の中で、上のほうからボトボトボトっと、 大量に何かが落ちてきました。 そしてフル回転で乾燥機が回り始めます。
中で廻っていたのは、数え切れない程の人間の手首でした。
それを見た瞬間 気を失い、 次にハッと気がつけば朝。 自分のベッドの上にいました。 |