みんなと元気に

ぶどう園から
 
2013/04/20 18:14:00|その他
体験談
[天災に出会ったときに」
 
 受け継ぐ農地での適作は、干ばつに強いという理由から
「ぶどう」に決めて、大規模土地改良と、ぶどう園造成の初期から
成木になるまでの数年間は、農外収入で生活しながら、
未来への希望を抱いていました。
 
ところが、棚を埋めた巨峰の大収穫を待つばかりになった直前に、
雹(ヒョウ)害で、壊滅状態を経験しました。
 
収穫目標に達する年という時の挫折でした。
自然と生きる苛酷さを味わいながら、試練に耐えられたのは、
大勢の仲間、同業者の肉体的・精神的に協力を得られたからです。
 
農業熟練者の「不屈さ」にすごく支えられ、その後長く続けられました。
 
「いつまでも在ると思うな親と金。無いと思うな運と災難」という教訓を
その時に教わりました。
 
あぁ・・・なるほど、このコトだな
 
 望むのは家族の健康。 元気で働ければ借金もすぐになんとかなる。
家族が支えあえば、復興するまでの精神面の辛さが半減します。
 
光明が見えて闘争心に火がつくって感じで
「負けてたまるか!」と・頑張れました。
 
雹害は、借金返済の期間が長くなってしまった、試練です。
農業人になってから、記憶に残るもっとも大きな出来事で、
「ハウス」「雨よけ」へと施設化を図るきっかけになりました。
 
施設化の栽培面積が進み、安心していられると思ったら
強風が多くなったようで、夜中でも目が覚めて神経がすり減ります
 
強い寒気の影響だと風後に寒い朝がやってきますので、
暖房機が正常に稼働しないと低温になって、大減収になります
 
自然界の脅威にさらされなければならないのが残念ですが、
苦労から・・・思い通りの結果になった時の喜びは、たとえようのないほど
毎年頂点をめざし、 なおも高みを目指したい。
 
農業の奥深い面白味があるからかもしれません。

 
ケヤキの木の芽吹きで天候を占う  4/27談

大正生まれの商人に聞いた話です。
コンピューターの無い時代の春から夏の天気の予想に、
ケヤキの木の芽吹きの様子を指標にして占ったそうで、
確率も100%じゃありませんが、結構当たるようです。
 
大きく目立つケヤキの木に注目して、芽の出方や萌芽・展葉を
みていくと、一斉に芽生えて順調に緑になっている年には晩霜もなく、
梅雨入りや梅雨明け、という流れがほぼ平年通りに順調なのです。
 
反対に、幾枝だけが早く萌芽して、不揃いな展葉をしていると、
晩霜が春野菜に被害を及ぼしたり、麦秋に雹害があったり、
稲にイモチ病が大発生したり・・・と、
低温害が発生しやすい年になるのだそうです。
 だいぶ前に聞いた話を思い出しながら見てた時、
確かに今年のケヤキの芽吹きは不揃いが目立っていました。
 
商人は先を読めないとだめだから最低でも夏までの
天候の傾向を知って、仕入れに失敗しないようにしないと
儲からないという御説でした。
 
  地球温暖化で想定外の夏の暑さが多くなっていますが、
地球の冷却機能も着実に機能しているとしたら、
寒暖の幅が大きくうねった状態で繰り返しやってくるのは、
至極当然のことのように思えます。
 
 〜「いつまでも無いと思うな、運と災難」〜
天災は忘れた頃にやってくる・・・って。
 
平年より遅い時期になってからも低温による被害が
起こる確率が高い年かも・・・(ー_ー)!!
 







2013/02/21 20:39:00|ものつくり
大平ワイン
ものつくり
 
ぶどう専業農家になって、約40回も栽培を繰り返したが、
経営として満足のいく収穫を何度味わえたのだろうか?
ブドウの起源はかなり古く、人間とのかかわりあいも深く、世界中に
分布をしているが、生食よりワインとしての消費量が至極多い。
 
成熟期に雨の多い日本に適したワイン用品種は極めて少なく、
安定した量を確保するには、技術と高い経費が障壁となっていて、
安価な世界的ブランド品と対等に競いあえるものはきわめて少ない。
 
有名ワインは日本より雨量の少ない国に多く、大規模な設備を
有するワイナリーで熟知した人々によって大量に製造されています。
 
それに比較すると日本のワイン生産量は最近の欧米化で一時的に
増えたが、一個人の消費量は生活スタイルの違う欧米の比ではない
 
国内産ワインは、地元生産の果実を酒造会社へ委託することで
小規模に造られていることが多く、消費も地元、地方が中心です。
 
愛飲家を中心に高品質な試作をしてきてはいるが、
純国産で高付加価値あるものを造れる所はまだ少ないというのです
・・・まぁ、国内製造を伸ばしたいならまず、国内需要を刺激しながら、
肝心の原料安定確保で、組織作りと匠の技で高品質な「ものつくり」を
大規模に追及することが望まれるでしょう
 
現在は青年部がワイン用品種の共同栽培を続けていますが、
栽培規模は極めて少なく、生食用で販売できる環境下では、
なかなか目先を加工販売へと変えるわけにはいきません。
 
生食用生産だけに満足せず、高品質なワイン造りへと引っ張る
リーダーが出てこないと、大平ワインの将来に規模拡大は望めず、
狭い範囲での地元ブランド品として存在していきそうです。
 
昨今の世情から未就職者をうまくワイン生産に
参入できないだろうか?・・・と思う今日この頃です。
 







2010/04/29 9:53:12|巨峰
栽培ポイント
数多いブドウ品種のどれを栽培しようかと苗選びの時悩みます。以前はアメリカ生まれのキャンベルスアーリーが雨の多い日本の気候でも安定した結果で長年大栽培されていましたが  昭和の中期にキャンベルの大粒変異の「石原早生」に、ヨーロッパ生まれのロザキが大粒変異した「センテニアル」を交配して「巨峰」が誕生しました。大粒な甘い巨峰は4倍体という性質で、花ぶるいがひどく非常に栽培しにくいという問題児だったのでした。
しかし、その粒の巨大さと味に惚れ込んだ人たちが、長年かけて試行錯誤を繰り返しながら幾多の問題点を克服してきたことで、国内最大の栽培面積を占めて、今は国内ブドウ生産量のダントツ1位を誇っています。・・・が、栽培には専門的な技術を要し、毎年高品質で安定した収量を得るには、露地栽培は難しい品種という評価です。
・・・そんな巨峰の大栽培を続けてもうすぐ40年になります。
 
栽培ポイント(1)
性質をよく理解して、栽培上の何事もやりすぎないこと
 肥料のN,Kは特に注意
 
栽培ポイント(2)
毎日の観察で病害虫には素早い対策をすること
 棚のブドウだけじゃダメ、下の草も見なきゃ
 
栽培ポイント(3)
目の前のブドウの気持になって考えること
 何かほしがっていないかな?
 
 







2010/04/27 14:27:09|摘粒
摘粒

実止まり(みどまり)
 
 開花が終了し、結実決定期に入ると、不稔実(ショットベリー)がわずかな衝撃でパラパラと落ち始まります。
・・・この時期を「落弁期」といいます。
立派な房になるようにと神・仏様に祈る時です。開花時のお天道様によって結実の良し悪しがかわりやすく、天国と地獄ほどの気分をあじわうことにもなります。肉眼でも有核・無核の実が徐々に判るようになってきて、一喜一憂する時期だね。
 
 
摘房(てきぼう)
 
 房の良い悪いが判断できるようになったら
強い枝に1房。 中庸な枝なら2本で1房。 弱い枝は0、カラ枝へというように、残す房を決めて適正な数へと整理する
 この作業は早ければ早いほど樹に対する負担も軽くでき、残す果粒の肥大につながる。
 
 
摘粒(てきりゅう)
 
 房の実の付き方を見て、目標(理想)とする房の形・大きさへと仕上げる作業。
ふつうは大きい粒と小さい粒が混在して摘粒の手間が最もかかるのが巨峰の特徴です。
 
実の付き方がちょうど良いというのは、神業のようなもので、たまたまというべきか、偶然というべき事態。 仕事は早いし、羨望のまなざしで見られるし、そうなれば最高!
付き過ぎの場合は大変な作業手間を要してちょうど良くしていく。上げた腕や肩が悲鳴をあげないようにいろいろ工夫をして頑張るよ。
 
写真(上)は摘粒の前。
 
写真(下)は摘粒の後。 袋かけをすれば完成。
 







2010/04/27 13:47:05|その他
芽かき〜開花

去年の様子・・・(平年は)
春への陽射しの強まりに合わせ外気・地温の上昇で、ぶどう樹の休眠(枯れ木状態)が終わると、かたく小さな冬芽が少しずつ少しずつ脱苞(だっぽう)(堅い保護皮を脱いで綿芽になる状態)へと動き始めます。・・・まだまだ氷点下の朝も多く、その動きは何十日間もかかります。
 
立夏が近づくと陽射しも強くなり遅霜の心配もなくなって、色とりどりの草花が咲き綺麗な時期になります。
葉緑を濃くしながら植物が一斉に伸びだし、あふれ出る大自然の活力を感じます。
 
ブドウの枝では、一か所から主芽と副芽が出てきます。伸びのある良い方の芽を残してもう片方の不要な芽をかき取る、芽かき作業を行ないます。新芽はまだ柔らかいため、ちょいちょいと指先でかき落とすことができて、主芽だけ残しに出来れば仕上がりです。
芽かきには、枝の混雑を解消して養分の無駄使いをなくすためとか、樹勢をコントロールするという目的があります。
 
上向きの仕事だから、強まってきた陽射しで日焼けが気になります (5/2)
 
夏日も現れて棚面が緑色を濃くする下旬の頃には、花穂の蕾も一粒ずつが間隔を広げて開花が始まります。 花弁を持たないぶどうでは花冠(キャップ)と呼ばれる包んでいる器官を、おしべ5本が少しずつ少しずつ押し上げて、脱ぎ捨てるような状態で開花になります。
細く短い軸の先にはめしべ(子房)を囲んでおしべの白色だけが少し目立つ程度ですから、色とりどりの花に比べるととても地味な開花ですね。
 
最初、花穂には小さな蕾がいっぱいあるのに、大きな実へと成長する数はわずかになってしまいます。子孫である種子(実)を多くつけるには樹の力と自然の様々な条件が深くかかわっています。
メシベの柱頭に着いた花粉が順調に花粉管を伸ばして受精が完了するまでには100~120時間かかるといわれています。この時の低温は、開花受精にとって最も悪い環境で単為結実(種のない小粒果)になってしまいます。
 
栽培者は、結実率を高めて立派な果房がいっぱい着くようにと、天候とブドウの枝の成長を見ながら頭を悩ませる時期が続きます。(5/中下旬)
 







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