御家流の安藤御家元のお招きを受け、新緑の護国寺(東京)で行われた
春季茶道・香道大会に長男とお伺いした。
皐月の青葉に映える不老門
この日はゴールデンウィークの最終日。高速道路や地下鉄の混雑を予感しながらの
遠出だったが、そんな心配は大きくはずれ難なくクリアー、予定通り10時半には到着。
玄関受付で、丸根松平家・信次氏が出迎えてくださった。
寄付に通されると、同じく賓客としてお越しの宇和島伊達家当代の叔父にあたる
宗忠氏と、徳川慶喜公のひ孫にあたる靖国神社の康久宮司をご紹介いただいた。
宇和島伊達氏といえば、幕末四賢侯と称される伊達宗城公が著名
そして慶喜公といえば大政奉還を成し恭順。水戸、静岡、東京で謹慎後に
徳川宗家とは別に慶喜家として別家を分立されたのは一般にはあまり知られて
いないことでしょう。公のひ孫である徳川宮司ですから、ご本人にお会いした
ようなニュアンスに近いと感じましたね。
茶事が始まるまで、茶の湯体験や歴史の話題で暫し談笑。
その後は各茶席にて安藤家伝来の茶器を愛でながら、薄茶を堪能して廻り
続いての月窓軒では、吊し釜による旅箪笥点前を楽しむ。
秀吉の小田原陣中で利休が実用したのが始まりとも言われている
この日がデビュー戦というお社中の男子席であったが、女性陣の眼差しが注がれる
中でも堂々としていて立派なステージアップを飾っておられ、心もがっちり
つかんでおられたのでは。
磐城安藤氏石持に上り藤を象った干菓子
12時過ぎ、松平さんに促されて香道にチャレンジすることになり、飛び込みで
途中参加させていただいた。安藤家が御法要を営む東福門院和子皇后にちなんだ
香席。女性陣に囲まれながらも志野流での経験を頼りに香りを”聞く”。
仙洞御所の和子様も皇女や官女に囲まれながら興じていたことに想いを馳せる
ことで、10種の香りを十分に楽しめた。このスロースタイルな時間の流れが優雅であった。
月光殿 東福門院尊儀御画像
茶道・香道各流派の先生たちがお弟子や友人、家族と誘い合わせて参加しているの
だろうか、どこのお席も回廊や露地に行列のできるほどの盛況ぶり。
3時近くに濃茶席に落ち着くことが出来た
皇室や将軍家ゆかりの伝来品で彩られた床・脇棚・書院床飾りを家元に
ガイダンスしていただいた。中でも細川三斎公が愛用していた印伝財布は「今は
私の名刺入れになっています」とユーモラスに話され、こちらの笑いを誘いました。
程なくして、本日ラストとなる宗家席に40人ほどのお客人たちがぞくぞく入室。
護国寺方丈や、先ほど寄付に挨拶に来て下さった家元のお孫さんの顔も見える。
濃茶点前は安藤園枝次期家元が務められた。
ここで当家のプロフィールについても披露してくださり、常に当正信・正純に
敬意を示してくださる家元のお人柄を感じずにはいられない。
茶器や本多家改易後、安藤家に仕官した正純家臣についてもお話を伺う
お濃茶をいただいた後は(勝手に対談形式と呼んでいるが)交歓させていただき
有意義なゴールデンウィークの締日を過ごさせていただきました。