おひさまパン

 
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2011/01/19 8:35:46|Book
柴田哲孝「狸汁」
柴田哲孝さんの「狸汁」を読みました。

流れ板の銀次が妻の町子と「味六屋」という小料理屋を舞台です。

そこには日本政界のドンや歌舞伎役者、会社の重役など、大物が集います。

彼らの思い出の味を銀次は再現していきます。

その思い出の味が何であるのか知ることで、彼らの心をほぐしていきます。

どの料理も食べたことのないものばかり。

題目の「狸汁」も実は本当の狸を使ったものはまずくて食べられないが、「狢」といわれるアナグマを使ったものが、一般的に狸汁として食されていることなど、さまざまな料理の紹介もあって面白く読めました。






2011/01/19 8:27:09|Book
辻 仁成 「クロエとエンゾー」
辻 仁成さんの「クロエとエンゾー」を読みました。


とても複雑で悲しい状況でであったクロエとエンゾー。
愛し合っているのか、それぞれの想像の世界だけなのか、
それともある作家が作り出した、作品でしかないのか。

読みながら過去と現在、創造と現実がこんがらがって、どれが本当の世界なのか読み取ることができませんでした。

答えがあるのか、それとも読者の判断にゆだねられているのか・・・。

子供のころによんだ「はてしない物語」を思い出しました。
本自体の作り方にも工夫があって、難しいけど、どんどん先を読みたくなる。読み進むけど、先が見えない。
もう一度読み返したほうが良いのかと思うけど、気力を使い果たしてしまったほど、集中して読める一冊でした。






2010/11/03 8:44:28|Book
高殿 円「トッカン 特別国税徴収官」
高殿 円さんの「トッカン 特別国税徴収官」を読みました。

東京国税局京橋地区税務署に所属する鈴宮深樹(通称 ぐ~子)はトッカン(特別国税徴収官)の鏡雅愛の補佐官をしています。

読みはじめに用語表などがあったので、難しい話なのかなぁと思いました。

しかし、話のテンポがテレビドラマを見ているような軽快さなので、楽しく読めました。

ぐ~子はトッカンの補佐として、毎日激務をこなしていますが、本人の心の中には、自分の過去のことや、現在の仕事ばかりで、友人がいない寂しさや将来の見えない不安があります。

そんな時、滞納者から罠にはめられ、ぐ~子は窮地に追い込まれます。やっとできたと思った友人が自分を罠にはめていた事実を知った上、自分では気づかない嫌な自分に気づかされ、自己嫌悪に陥ります。
しかし、ぐ~子は自分の非を認めた上で前向きにすすむことができます。
ぐ~子の周りにいる人々の温かさ、冷血と思われている鏡トッカンのやさしさ、ぐ~子の素直さやひたむきさに、ちょっと涙が出ました。

本当の現場ではこんな風に行くのか分からないけど、みんながこんな優しい気持ちに慣れたらいいよね。と思う一冊でした。






2010/10/28 9:32:30|Book
朝倉かすみ「声をだしていこう」
朝倉かすみさんの「声を出していこう」を読みました。

私は本を読むとき、はじめに本の後ろに書いてある作者紹介を読むことが多いのですが、朝倉さんはかなり人気があり、「今もっとも注目される作家さん」とのこと。期待は高まります。

なぜこの本を手に取ったか!
表紙のインパクトです。
いま子供に人気の絵本「こびとシリーズ」、「給食番長」に似たインパクトを受けました。
6章の短編集ですが、それぞれに「この人とつながるのか!」という登場人物のつながりが、面白かったです。

それぞれの登場人物が持つ、こうありたい自分、こうみられたい自分、もしかしたらこうなっちゃうかもの自分、そして実際にこう見られている自分、でも本当はどうなの?ということが、本人だけでなく、個性的な登場人物を介して表現をされています。

これまた「そうだよね~、こういうのあるよね~」と思える一冊。作者紹介にうそはなし!

ちょっとお下品な表現になりますが、ひとりの登場人物がおなかが弱いんですね。そのまさにトイレに行きたい表現を

「抜き差しならない状態」

と表現していたのがツボに入ってしまい。ひーひー笑いました。
なぜなら、その日の昼間パパがまさに
「抜き差しならない状態」
に陥ったから。ごめんなさい。お下品で^^;






2010/10/20 6:16:53|Book
あさのあつこ「夢うつつ」
あさのあつこさんの「夢うつつ」を読みました。

普通の主婦である彼女がどのようにして作品を作り出しているのか、もしかした私にも何かかけるのでは!と期待させてしまう本です。(実際想像力が違うのですけど^^;)

はじめに短いエッセイがあり、それをヒントに書かれた短い作品が始まる。この形で、何篇かの作品が収録されています。

「どっちだ」という作品では。深い霧の中乗ったタクシーで体験した出来事をヒントにしています。
 ある男性が深い霧の日、タクシーに乗った彼は運転手の対応が存在なのに腹を立てています。しかし彼は思い出すのです。幼い頃、自分がした約束を果たせずに深い霧の中で友人が死んでしまったことを。
 しかし振り返った運転手は言うのです。「悪かった、早く成仏してくれ」と。
 「え!死んでいるのはそっちだろ!」
 「いや!お前だろ」


深い霧の中では死者と生者が入り混じるという言い伝えを元にしたお話です。
これはちょっとヒヤッとするお話ですが、ほのぼのする作品も収録されています。
「世にも奇妙な・・・」でタモリさんがお話してからストーリーが始まる。あの感じを味わえます。

私はエッセイから感じるあさのさんの日常が好きです。






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